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黄輪雑貨本店 新館


    「双月千年世界 1;蒼天剣」
    蒼天剣 第6部

    蒼天剣・九悩録 1

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    晴奈の話、第321話。
    天帝教神話。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    1.
     およそ500年以上昔、央北のとある村に全身真っ白な男が流れ着いた。
     その男は全知全能を有し、自らを「神」と名乗った。彼は流れ着いた村で数々の奇跡を起こし、技術や知識を広め、人々に知性と豊かな暮らしを与えた。

     まだ央北と央中の交流がまばらで、央北人にとって央南は半ばおとぎ話の国としか認識していないような時代に、彼は世界平和とそのための統一を訴え、実際に世界を平定し、中央大陸全土を治める大政治組織、通称「中央政府」を創った。
     そして拠点にしていた村が大きくなり、街となった際、その村が「東西南北に」伸びる街道の「中央」であったことから、男は街の名を「クロスセントラル」と変え、生涯をその街で過ごした。

     男の名はタイムズ。天帝教の主神となった人物である。



    「……ってワケだ」
    「ふーん」
     バートの説明を、シリンは一言で返した。
    「てめーには説明のしがいが丸っきりねーなぁ」
     バートはシリンの虎耳をグニグニとつまみながら、シリンをにらみつける。
    「何メンチ切ってんねんやー、怖いでー自分」
    「てめーの耳は何でできてんのか、裂いて中身を確かめてみたいぜ」
    「痛いってー、離してーやー」
     最初は非常に仲の悪かった二人だが、どう言うわけかクロスセントラルに到着する頃には、兄妹のように仲良くなっていた。
    (ま、口の悪さも似た者同士なんだけどなー)
     後ろで眺めていたフェリオは、のほほんとした気分で二人を見ていた。
     と、グニグニと耳をつねっていたバートはようやく手を離し、道の先を指差す。
    「まあいいや。そんなワケでな、この街がそのカミサマ、『天帝』タイムズの創った街、クロスセントラルだ」
    「ふーん。……何か、けったいな街やな」
    「まーな。落ち目とは言え、今でも大陸政治の中枢、世界を動かす街の一つだからな。うさんくささで言えば北方のジーン王国や央南の玄州、西方三国なんかととタメ張るくらいだ」
    「ふーん」
    「……お前ってホント、政治に興味ねーのな」
     呆れるバートに、シリンはプルプルと首を振る。
    「ないわー。それよりも」「メシだろ?」
     フェリオの突っ込みに、シリンは尻尾をピョコピョコさせてうなずいた。
    「うんっ」
    「……ホントにガキだなぁ、お前」
     バートは苦笑しつつ、手帳を広げた。
    「落ち合うのは明後日の予定になってる。今日ゆっくり寝るとしても、明日1日くらい遊べそうだぜ」
    「ホンマ? じゃ、一緒に買い物でも行こーなー」
     そう言ってシリンは、バートとフェリオ両方の手を取る。手を握られたバートは少し驚いた顔になり、シリンに尋ねる。
    「お? 俺もか?」
    「うん」
    「フェリオとのデート、邪魔しちゃ悪いだろ」
    「そんなコトないってー。それにジュリアに会った時、プレゼント贈っといた方がええんとちゃうん? 色々お世話になっとるしー」
    「……ああ、まあな。それはそれで、いいかもな」
     バートはポリポリと頬をかき、シリンの提案に乗った。
     と、フェリオが何かに気付き、足を止める。
    「あれ? 先輩、あの二人……」
    「ん?」
     フェリオが指し示した先に、可愛いリボンのついた帽子をかぶった狐獣人と、央南風の服を着た猫獣人がいる。
    「おーい」
    「ん? ……あ、バート!」
     振り向いた猫獣人はやはり、晴奈だった。横にいるのは当然、フォルナである。
    「まあ、無事でしたのね皆さん!」
    「おう。……エランは?」
     晴奈たちと一緒にいるはずのエランの姿がなく、バートたちは一瞬不安になる。
    「あ、いや。街に着くなり、『すみません、ちょっと……』と言ってどこかに行ってしまった。恐らく用を足しに行ったのだろう」
    「……なんだ、驚かせやがって。どこに行ってもしまらねーヤツだなぁ」
    「へへ……、すみません」
     晴奈たちの後ろから、申し訳無さそうにエランが歩いてきた。
    「どうしても我慢できなくって。っと、お久しぶりです、バートさん」
    「おう。……ん?」
     バートはエランを見て、妙な違和感を感じた。
    「……どうしました?」
    「……いや、何でもない。さ、街に入るか」
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    ~ Comment ~

    NoTitle 

    こちらでも、「小話」で一度、おとぎ話を書いてみたことがありますが、
    案外難しかった記憶があります。
    なかなか「らしい」感じが出なくて……。

    NoTitle 

    そういえば、グッゲンハイムでおとぎ話の話ってないなあ・・・と思いながら読んでおりました。そういうのを閑話で入れるのも良いなあ・・・と思いながら読んでおりました。
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