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黄輪雑貨本店 新館


    「双月千年世界 1;蒼天剣」
    蒼天剣 第6部

    蒼天剣・藍色録 6

     ←蒼天剣・藍色録 5 →蒼天剣・緑色録 1
    晴奈の話、第335話。
    急展開。

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    6.
     モールと小鈴による「拷問」で抜け殻のようになったカモフから、晴奈たちはいくつかの情報を手に入れた。

     まず、プリズムの構成員について。
     プリズムは現在9名おり、どれも一騎当千の実力を持っていると言う。
    「飛ぶ剣術」を使うスカーフェイスの剣士、モエ・フジタ(藤田萌景)――バイオレット。
     風の魔術師で、晴奈に対して偏執的な恋愛感情を持つ、レンマ・アメミヤ(雨宮蓮馬)――マゼンタ。
     土の魔術師で、非常におっとりした天然っ子、ペルシェ・リモード――オレンジ。
     雷の魔術師で、プリズムの中では最も年の若い少年、ジュン・サジクサ(匙草純)――イエロー。
     兄妹の長物使い、ヘックス・シグマとキリア・シグマ――カーキとミント。
    「毒手」使い、ネイビー・チョウ――インディゴ。
     モールを襲ったと思われる変幻自在の暗殺者、ミューズ・アドラー――ブラック。
     そして彼らの頂点に立つ凄腕の女剣士、フローラ・ウエスト――ホワイト。
     特に上位三人、ネイビー、ミューズ、フローラの強さは別格で、ついさっきシリンに蹴倒されるまで、カモフは負ける姿を見たことが無かったそうだ。

     次に、いつ、どうやって、何故エランと入れ替わったのか。そして現在、エランはどうなっているのか。
     何にでも化けられる術、「メタモルフォーゼ」を使えるのは、殺刹峰では現在、カモフ一人だけである。だから対象者が一人きりの時にしか、入れ替わるチャンスは無かった。
     最初は最も非力なフォルナに化けようとしたのだが、フォルナはずっと晴奈と一緒にいたし、途中一度だけ別行動を取ったものの、それは人の集まるバーで酒を呑んだ時だけ。一人きりになることがまったく無く、カモフは彼女と入れ替わるのを諦めた。
     晴奈は毎朝一人で修行していたが、カモフの実力でどうこうできる相手ではない。こちらも諦めるしかなかった。
     そして残ったのがエランだった。幸いにもフォルナが呑みに、晴奈が朝の修行に行っている時、エランはのんきに眠っていた。他に代われる者もいなかったので、カモフはエランと入れ替わることにしたのだ。
     そして本物のエランは現在、殺刹峰のアジトに監禁されているとのことだ。
    「殺されたりせーへんかな?」
    「それは無いと思いますわ。だってカモフさんがこちらの手に落ちている以上、確実に本拠地へ向かわせるには……」
    「なるほど。エラン君がいなければまずい、と」
    「それでも早めに向かわないと、危ないかも知れませんわ。わたくしたちを急かすために、何らかの拷問にかけられるかも知れませんし」



     そして、最も知りたかった情報――殺刹峰の本拠地について。
    「それで、本拠地はどこにあるのだ?」
    「……知らない」
    「そんな訳が無いだろう。隠すとためにならぬぞ」
     凄んできた晴奈に怯えながらも、カモフは答えない。
    「本当に知らないんだ。いつも『移動法陣』で出入りしているから、どこにあるのかは……」
    「『移動法陣』? 黒炎教団の、か?」
     そこにモールが割り込み、補足説明をする。
    「『移動法陣』は別に克の専売特許じゃないね。私だってやろうと思えばできるね――ちょっと手間だけども――あいつは『魔獣の本』持ってるんだから、それくらいの魔法陣描くのはワケないね」
    「あいつ、だと? モール、まさか……」
     尋ねかけたカモフをモールがにらみつける。
    「あ? 呼び捨て?」
    「……モールさん、まさか、首領をご存知でいらっしゃいますので?」
    「ああ、知ってるね。……この40年近く、ずっと追いかけ続けた相手だしね」
     いつも人を食ったような態度のモールが、この時は妙に感傷的な雰囲気を見せた。
    「そんで能面、『移動法陣』はドコにあるね?」
    「俺たち下っ端兵士が良く使ってるのは、イーストフィールドの廃工場に隠してあるやつだ。それ以外は知らない」
    「なるほどね。……ま、こっちが来るのは読まれるだろうから、ガッチガチに迎撃準備されそうだね」
     モールは全員に向き直り、いつになく真剣な顔を見せた。
    「行く? 行かない?」
     その問いに、小鈴が小さく鼻を鳴らして答えた。
    「行くに決まってんでしょ」
     その言葉に、他の者たちも一様にうなずき、同意する。
    「よっしゃ決まりだ、早速行こうかね」
     モールは表情を崩し、またニヤニヤ笑い出した。

    蒼天剣・藍色録 終

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    2016.08.04 修正
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    ~ Comment ~

    NoTitle 

    強情な相手に対し、口を割らせる方法は数多ありますが、
    中でも「拷問」は、聞く側のサディスト性が最も際立つ方法です。
    いかにも小鈴やモールがやりたが……、採る方法ですね。

    NoTitle 

    拷問は大切ですね。
    あまりそういうのは全面で出さないですけど。
    スパイファンタジーとか作ったらそうなるんでしょうけど。
    あ~~、こういうシーンを見ると書きたくなる。
    やはり魔術ですね。
    さすがの文章です。
    情報はどこの世界でも大切ですね。
    • #815 LandM(才条 蓮) 
    • URL 
    • 2012.05/13 18:48 
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