「双月千年世界 2;火紅狐」
火紅狐 第1部
火紅狐・賭罰記 5
フォコの話、11話目。
一発逆転の機会。
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一発逆転の機会。
5.
勝負は一巡し、後半戦が始まった。
「……アガリだ。極刻子、三倍付けだな」
親番のルピアが、いきなり先制する。
「うぅ……」
ランニャがうめく一方で、フォコは一言も発さずカードを机に置く。
「次、行きましょう」
「うん? ……ああ、そうだな」
もう一度ルピアが切り、再び配られる。
「ほれ」
と、ルピアが切ったカードを見て、フォコはクスっと笑った。
「うん?」
「……アガリました」
「何? ……地和か!?」
机に置かれたフォコのカードを見て、ルピアがうなった。
「氷の刻子に、雷と風の対子。……むう、本当にアガってるな」
「アガリと地和、それから一連荘で4.5倍ですよね」
「ああ。……まいったな」
ルピアは憮然とした顔で、フォコにカードを渡してきた。
「さ、お前の親番だ」
「はいっ」
配り終え、場が進んだところでランニャがアガる。
「アガリっ! 天対子だよ!」
「二倍付け、だな」
続いてランニャの親番で、ルピアがアガる。
「極対子。二倍付けだ」
「ぶー」
あっさり親が蹴られ、ランニャが頬を膨らませる。
そして最後、ガルフの親番でまた、前半の悪夢がよみがえった。
「アガリ。極刻子」
「またアガリ。天刻子だ」
「ほれ、またまたアガリだぜ」
三連荘され、フォコたちの持ち点は見る見るうちに減っていく。
「ど、どうしよー、フォコくん……」
「……」
と、泣きそうな顔になるランニャに加え、優勢のはずのルピアも渋い顔をしている。
「どうしたんです、ルピアさん」
「……いや。まあ、大丈夫か」
「……?」
その言葉が何を意味しているのか分からず、次の局を迎える。
(来たのんは……、『水・水・土・土・土・天』か。このまんま行けば、極刻子が付いて三倍付けやけど……)
ルピアから渡されたカードを見て、フォコは短く唸る。
「どうした?」
「あ、いえ」
フォコはすい、とランニャにカードを渡す。
「むー」
ランニャに入らず、そのままガルフに流れる。と――。
「よっしゃ! アガリ、四連荘!」
ガルフは得意満面に、カードを皆に見せる。
「天刻子も付けて、1350点払いだ!」
「ひゃん……」
ランニャが短く鳴く。
これで点数差は8000点近くに広がり、半端な手では勝つのが絶望的になった。
「そろそろバリカンの用意ですね、ルピアさん」
「……まだ油断はするな、ガルフ」
「あ、はい」
なぜか、先程にも増してルピアは渋い顔をしている。
「これで四連荘だから、次は6倍掛けだな」
「……」
と、ルピアがフォコのカードを見て、一瞬だけ怪訝な顔をした。
フォコはそれに気づいたが、しれっと目をそらし、次の局に臨む。
「さて、と。……はい」
カードを配り終え、ガルフからルピアにカードが流れる。
「ほれ」
と、自分に配られたカードを見て、フォコは息を呑んだ。
「……っ」
「どうした? 早く渡せ、ランニャに」
「……いえ、それが」
「……まさかお前」
フォコは上ずった声で、アガリを宣言した。
「アガリです。地和、七種七枚」
「……なんだとぉ!? 七倍付けじゃないか!」
「マジかよ……、って、……やべぇ!」
アガリと地和、七種七枚で七倍付け。さらに四連荘のために、それがさらに6倍され――計、42倍となる。
一気に4200点ずつを奪い取り、フォコたちのチームがギリギリ逆転した。
「約束通り、今回の罰は帳消しだ」
「やった~」
「もう二度と、危ないところを一人でウロウロするなよ」
「はーい。それじゃ、おやすみなさーい」
ようやく許され、ランニャはほっとした顔で寝室へと向かった。
「あ、じゃあ僕もそろそろ……」
フォコもお辞儀をし、寝室へ行こうとしたところで、ルピアが声をかけてきた。
「ちょっと待った、フォコ君」
「……はい?」
「さっきのなんだが、気になる点がある」
「なん……、でしょう」
ルピアはまだ机の上に置いたままのカードを一枚拾い、フォコに見せつける。
「ラス2の局だが、私は君にこのカードを渡したよな。この、『天』のカード」
「……ええ」
「一体なぜ、君はアガらなかった? あそこでなら、できただろう?
しかも地和と天対子で五倍付け。三連荘だったから4.5倍掛けの、一人2250点払い。ガルフを抜いてトップになれたはずだ。
なぜ、君はこれを捨てた?」
じっと見つめてくるルピアに、フォコは素直に答えた。
勝負は一巡し、後半戦が始まった。
「……アガリだ。極刻子、三倍付けだな」
親番のルピアが、いきなり先制する。
「うぅ……」
ランニャがうめく一方で、フォコは一言も発さずカードを机に置く。
「次、行きましょう」
「うん? ……ああ、そうだな」
もう一度ルピアが切り、再び配られる。
「ほれ」
と、ルピアが切ったカードを見て、フォコはクスっと笑った。
「うん?」
「……アガリました」
「何? ……地和か!?」
机に置かれたフォコのカードを見て、ルピアがうなった。
「氷の刻子に、雷と風の対子。……むう、本当にアガってるな」
「アガリと地和、それから一連荘で4.5倍ですよね」
「ああ。……まいったな」
ルピアは憮然とした顔で、フォコにカードを渡してきた。
「さ、お前の親番だ」
「はいっ」
配り終え、場が進んだところでランニャがアガる。
「アガリっ! 天対子だよ!」
「二倍付け、だな」
続いてランニャの親番で、ルピアがアガる。
「極対子。二倍付けだ」
「ぶー」
あっさり親が蹴られ、ランニャが頬を膨らませる。
そして最後、ガルフの親番でまた、前半の悪夢がよみがえった。
「アガリ。極刻子」
「またアガリ。天刻子だ」
「ほれ、またまたアガリだぜ」
三連荘され、フォコたちの持ち点は見る見るうちに減っていく。
「ど、どうしよー、フォコくん……」
「……」
と、泣きそうな顔になるランニャに加え、優勢のはずのルピアも渋い顔をしている。
「どうしたんです、ルピアさん」
「……いや。まあ、大丈夫か」
「……?」
その言葉が何を意味しているのか分からず、次の局を迎える。
(来たのんは……、『水・水・土・土・土・天』か。このまんま行けば、極刻子が付いて三倍付けやけど……)
ルピアから渡されたカードを見て、フォコは短く唸る。
「どうした?」
「あ、いえ」
フォコはすい、とランニャにカードを渡す。
「むー」
ランニャに入らず、そのままガルフに流れる。と――。
「よっしゃ! アガリ、四連荘!」
ガルフは得意満面に、カードを皆に見せる。
「天刻子も付けて、1350点払いだ!」
「ひゃん……」
ランニャが短く鳴く。
これで点数差は8000点近くに広がり、半端な手では勝つのが絶望的になった。
「そろそろバリカンの用意ですね、ルピアさん」
「……まだ油断はするな、ガルフ」
「あ、はい」
なぜか、先程にも増してルピアは渋い顔をしている。
「これで四連荘だから、次は6倍掛けだな」
「……」
と、ルピアがフォコのカードを見て、一瞬だけ怪訝な顔をした。
フォコはそれに気づいたが、しれっと目をそらし、次の局に臨む。
「さて、と。……はい」
カードを配り終え、ガルフからルピアにカードが流れる。
「ほれ」
と、自分に配られたカードを見て、フォコは息を呑んだ。
「……っ」
「どうした? 早く渡せ、ランニャに」
「……いえ、それが」
「……まさかお前」
フォコは上ずった声で、アガリを宣言した。
「アガリです。地和、七種七枚」
「……なんだとぉ!? 七倍付けじゃないか!」
「マジかよ……、って、……やべぇ!」
アガリと地和、七種七枚で七倍付け。さらに四連荘のために、それがさらに6倍され――計、42倍となる。
一気に4200点ずつを奪い取り、フォコたちのチームがギリギリ逆転した。
「約束通り、今回の罰は帳消しだ」
「やった~」
「もう二度と、危ないところを一人でウロウロするなよ」
「はーい。それじゃ、おやすみなさーい」
ようやく許され、ランニャはほっとした顔で寝室へと向かった。
「あ、じゃあ僕もそろそろ……」
フォコもお辞儀をし、寝室へ行こうとしたところで、ルピアが声をかけてきた。
「ちょっと待った、フォコ君」
「……はい?」
「さっきのなんだが、気になる点がある」
「なん……、でしょう」
ルピアはまだ机の上に置いたままのカードを一枚拾い、フォコに見せつける。
「ラス2の局だが、私は君にこのカードを渡したよな。この、『天』のカード」
「……ええ」
「一体なぜ、君はアガらなかった? あそこでなら、できただろう?
しかも地和と天対子で五倍付け。三連荘だったから4.5倍掛けの、一人2250点払い。ガルフを抜いてトップになれたはずだ。
なぜ、君はこれを捨てた?」
じっと見つめてくるルピアに、フォコは素直に答えた。



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