「双月千年世界 2;火紅狐」
火紅狐 第1部
火紅狐・奪督記 3
フォコの話、25話目。
悪夢の成就。
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悪夢の成就。
3.
黒ずくめたちを引き入れ、門前に一人残ったケネスは、ニヤリと笑いながら門柱にもたれかけた。
(これで間もなく、第三段階完了か。……いよいよ、最終段階への秒読みがかけられる)
ケネスは屋敷の最上階、レオン夫妻が眠っている部屋の窓をじっと見つめる。
(いやいや、本当に長かったものだ。計画を発案してから、4年もかかるとは。……いや、大元から考えれば10年以上、か?)
かしゃ、と窓から音が漏れる。
(おっと、マヌケめ! バレたらどうする気だ!)
注意深く他の部屋に目を向けるが、動じた様子は無い。
(ふう……。こんな些細なことで10年の計画が破綻したら、元も子もない。まったく、愚図どもめ!
そう、10年もかけたのだ。私が、世界を牛耳るための計画!)
ケネスののどが、笑いをこらえようと引きつり、ピクピクと震える。
(第一段階、それは中央軍を味方に付けること。……バーミー卿の助けを借り、達成された。
第二段階、それはゴールドマン家に参入すること。……婿になることで、達成。
そして今、第三段階――ゴールドマン家の家督と全権を、奪取することだ!)
ケネスはこらえきれなくなり、門柱をガツガツと叩き始めた。
「うく、くくっ、く、くは、はははっ、ははっ……」
こぼれ始めた笑いは、凶暴な色合いを帯びていく。
「はは、ひっ、ひはっ、ははは、アハハハハハ……っ!」
ケネスは残忍な笑いを浮かべ、その場に崩れるように座り込んだ。
「エンターゲート様。完了しました」
と、そこに黒ずくめの男たちが戻ってきた。
「はは、は……、どうだった?」
「滞りなく」「嘘をつけ!」
ケネスは黒ずくめに怒鳴りつけた。
「さっきの音は何だ?」
「そ、れは……」
「女の方が、抵抗しまして。花瓶を投げつけられました」
「我々は無事だったのですが」
「お前らの無事なんかどうでもいい。私の依頼は、『誰にも気付かれること無く』だったはずだ」
にらみつけるケネスに、黒ずくめたちは困った顔で弁解する。
「いや、屋敷内の者は、気付いておりません」
「私が気付いた。屋敷の外にいた、私がだ。契約違反だな。報酬は無しだ」
「そんな……」
声を荒げようとした黒ずくめに、ケネスは怒鳴りつけた。
「このことはバーミー卿に報告させてもらうぞ! 肝に銘じておけ、私の命令は絶対だと!」
「……分かりました」
「分かったらさっさと帰れ! いつまでボーっと突っ立っているつもりだ!?」
「……」
黒ずくめたちはあからさまに気分を害したようだが、ケネスの威圧的な態度に何も言い返せず、その場を立ち去った。
門を元通りに閉め、ケネスは屋敷に戻っていく。
(さあ、これからが楽しみだ)
ケネスはそっと、寝室に戻っていった。
翌朝――。
「きっ……」
メイドの悲鳴が、屋敷中に響き渡った。
「きゃああああっ! だ、旦那様!? 奥様!?
だ、だだっ、誰か、誰かーっ! だん、旦那様と、奥様がっ……!」
その叫び声に、屋敷中の者が集まってくる。
「どないしたんや!?」「旦那様と奥様に、何やあったんか!?」
当然、フォコもとたとたと階段を駆け上がり、両親の部屋の前に向かっていた。
「な、何かあったんですか?」
「き、来たらあきません!」
ところが、青ざめた顔のメイドたちが行く手を阻んだ。
「え……?」
「み、見ん方がええですよ」
「そ、そのっ」
フォコはメイドたちの表情から、何が起こったのかは察し始めていた。
「み、みせて、ください」
だが、確認せずにはいられない。
「だ、ダメ……っ」
「見せてください!」
フォコはメイドたちの横を抜け、部屋の中に入った。
「……っ」
そこは血の海だった。
ベッドの上と、横に、血まみれになった両親――レオンと、イデアが横たわっていた。
「……とうさん……かあさん……」
フォコはそこで、気を失った。
黒ずくめたちを引き入れ、門前に一人残ったケネスは、ニヤリと笑いながら門柱にもたれかけた。
(これで間もなく、第三段階完了か。……いよいよ、最終段階への秒読みがかけられる)
ケネスは屋敷の最上階、レオン夫妻が眠っている部屋の窓をじっと見つめる。
(いやいや、本当に長かったものだ。計画を発案してから、4年もかかるとは。……いや、大元から考えれば10年以上、か?)
かしゃ、と窓から音が漏れる。
(おっと、マヌケめ! バレたらどうする気だ!)
注意深く他の部屋に目を向けるが、動じた様子は無い。
(ふう……。こんな些細なことで10年の計画が破綻したら、元も子もない。まったく、愚図どもめ!
そう、10年もかけたのだ。私が、世界を牛耳るための計画!)
ケネスののどが、笑いをこらえようと引きつり、ピクピクと震える。
(第一段階、それは中央軍を味方に付けること。……バーミー卿の助けを借り、達成された。
第二段階、それはゴールドマン家に参入すること。……婿になることで、達成。
そして今、第三段階――ゴールドマン家の家督と全権を、奪取することだ!)
ケネスはこらえきれなくなり、門柱をガツガツと叩き始めた。
「うく、くくっ、く、くは、はははっ、ははっ……」
こぼれ始めた笑いは、凶暴な色合いを帯びていく。
「はは、ひっ、ひはっ、ははは、アハハハハハ……っ!」
ケネスは残忍な笑いを浮かべ、その場に崩れるように座り込んだ。
「エンターゲート様。完了しました」
と、そこに黒ずくめの男たちが戻ってきた。
「はは、は……、どうだった?」
「滞りなく」「嘘をつけ!」
ケネスは黒ずくめに怒鳴りつけた。
「さっきの音は何だ?」
「そ、れは……」
「女の方が、抵抗しまして。花瓶を投げつけられました」
「我々は無事だったのですが」
「お前らの無事なんかどうでもいい。私の依頼は、『誰にも気付かれること無く』だったはずだ」
にらみつけるケネスに、黒ずくめたちは困った顔で弁解する。
「いや、屋敷内の者は、気付いておりません」
「私が気付いた。屋敷の外にいた、私がだ。契約違反だな。報酬は無しだ」
「そんな……」
声を荒げようとした黒ずくめに、ケネスは怒鳴りつけた。
「このことはバーミー卿に報告させてもらうぞ! 肝に銘じておけ、私の命令は絶対だと!」
「……分かりました」
「分かったらさっさと帰れ! いつまでボーっと突っ立っているつもりだ!?」
「……」
黒ずくめたちはあからさまに気分を害したようだが、ケネスの威圧的な態度に何も言い返せず、その場を立ち去った。
門を元通りに閉め、ケネスは屋敷に戻っていく。
(さあ、これからが楽しみだ)
ケネスはそっと、寝室に戻っていった。
翌朝――。
「きっ……」
メイドの悲鳴が、屋敷中に響き渡った。
「きゃああああっ! だ、旦那様!? 奥様!?
だ、だだっ、誰か、誰かーっ! だん、旦那様と、奥様がっ……!」
その叫び声に、屋敷中の者が集まってくる。
「どないしたんや!?」「旦那様と奥様に、何やあったんか!?」
当然、フォコもとたとたと階段を駆け上がり、両親の部屋の前に向かっていた。
「な、何かあったんですか?」
「き、来たらあきません!」
ところが、青ざめた顔のメイドたちが行く手を阻んだ。
「え……?」
「み、見ん方がええですよ」
「そ、そのっ」
フォコはメイドたちの表情から、何が起こったのかは察し始めていた。
「み、みせて、ください」
だが、確認せずにはいられない。
「だ、ダメ……っ」
「見せてください!」
フォコはメイドたちの横を抜け、部屋の中に入った。
「……っ」
そこは血の海だった。
ベッドの上と、横に、血まみれになった両親――レオンと、イデアが横たわっていた。
「……とうさん……かあさん……」
フォコはそこで、気を失った。



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~ Comment ~
NoTitle
おおおおおおおっと!!!!!!
こんな非情な展開!!??
Σ(゚Д゚)
現実は非情すぎるよ。。。
フォコ。。。
(ノД`)・゜・。
こんな非情な展開!!??
Σ(゚Д゚)
現実は非情すぎるよ。。。
フォコ。。。
(ノД`)・゜・。
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