「双月千年世界 2;火紅狐」
火紅狐 第2部
火紅狐・職人記 3
フォコの話、50話目。
フォコの激情。
「火紅狐」、あっという間に50話到達。
ほぼ1日1話更新なので、ざっと2ヶ月分に相当します。
そして僕の傾向として、かなりの量を書き溜めてあります。
「蒼天剣」でもそうでしたが、連載中は常に50~100話分のストックがありました。
そして「火紅狐」でも、10月6日現在、140話までストックされています(90話分)。
後3ヶ月は、確実に続きます。
@au_ringさんをフォロー
フォコの激情。
「火紅狐」、あっという間に50話到達。
ほぼ1日1話更新なので、ざっと2ヶ月分に相当します。
そして僕の傾向として、かなりの量を書き溜めてあります。
「蒼天剣」でもそうでしたが、連載中は常に50~100話分のストックがありました。
そして「火紅狐」でも、10月6日現在、140話までストックされています(90話分)。
後3ヶ月は、確実に続きます。
3.
「あっぶねえな、おやっさん」
「ああ……、ヒヤっとしたぜ、まったく」
「そりゃ、こっちの台詞だよ」
島を離れたクリオとアバントは、冷や汗を拭いつつ、会話に興じていた。
「……にしても、最近ひどくないか、レヴィア軍の攻勢は?」
「ああ、それはオレも思ってた。襲撃の数からして、今年だけで、オレたちがコッチに来てから襲ってた回数の、半分近くになる。
いくらなんでも、そんなに動き回ってて、金やら武器やらが持つワケがねーんだがな……?」
「うわさじゃ、どこかと取引してるらしいぜ。中央の方か、西方かは分からないが、大手の武器商人がバックに付いてるとか、付かないとか」
「付いてるのは確実だろうな。でなきゃ、ココまでやたら滅多らに暴れられねー」
「……」
二人の背後で話を聞いていたフォコは、そこで思わず口を挟んだ。
「中央の武器商人……、エンターゲート製造、とか?」
「あん?」「……」
きょとんとするアバントに対し、クリオは顔をしかめつつ、フォコの肩に手を置いてやんわりと諭した。
「かも知れねーが、根拠は無い。思い込みで適当なコト言っちゃいけねえよ、火紅」
「あ、……すみません」
と、クリオはアバントに気付かれないくらいの小さな声で、フォコをたしなめた。
「お前さん、ソレを口にしちゃならねーのが分からねーワケじゃないだろ? 二度と言うな」
「……」
「少なくとも、オレんトコにいる間は、だ」
「……何でですか」
クリオの言葉に、フォコは語気を荒くする。
「どうして言っちゃいけないんです? 狙われるからですか? あいつに? こんな、僕たちの他には誰もいない海の真っ只中で、何でそんなことを気にするんですかッ!?」
「てめ……っ」
「おやっさんがそんな小さい人だとは思わ……」「誰がチビだ、コラ!」
なお怒鳴り続けようとしたフォコの顔に、クリオはパンチを浴びせた。
「が……っ」
「いい加減に分かれや、オボッチャマが」
クリオは仰向けに倒れたフォコに顔を近付け、小声で、しかし重みのある、落ち着いた声でささやいた。
「お前さんのそう言うトコが、一番の弱点だ。
普段はヘロヘロしたガキの癖に、一旦怒り出すと見境無くわめく。ケンカを売っちゃいけねー相手、正面から向かっちゃならねー相手に、真っ正面から堂々とケンカを売る、その熱血バカっぷり」
「う……」
その真剣みを帯びた強い語調に、フォコは黙り込む。
「もっと冷静になれや、火紅。じゃなきゃ、てめーは猪だの虎だのの、単純バカな獣と同じだ。そしてオレは、そんな『動物』を飼う気はねー」
「……」
「ともかく、だ。今度同じコトしやがったら、砂猫楼から放っぽり出すからな。覚えとけよ、火紅」
と、そこでクリオはいつものような怒鳴り声を上げる。
「……まったく、誰がチビだっつーの!」
クリオはフォコから離れ、苛立たしげな足取りで去っていった。
「……」
クリオが去った後も、フォコは座り込んだままだった。
「やられたなぁ、ホコウ」
と、成り行きを見守っていたアバントが、フォコに手を差し伸べる。
「すいません」
フォコは左手で頬を押さえつつ、アバントの手を取った。
「ま、次は気を損ねないように気を付けないとな。
ところで……」
助け起こしたところで、アバントが尋ねてきた。
「君はエンターゲート製造と、何かあったのか?」
「え?」
「中央の武器卸売の大手なんて、いくつもある。その中からわざわざ、その商会を名指しにしたってことは、何かあったのかな、って」
「……いえ、別に」
「そうか」
「……いてて。ちょっと下行ってきます」
フォコは痛む頬をさすりつつ、その場を離れた。
「エンターゲート、……ねぇ」
後に残されたアバントは、もう一度その名前を口にした。
「あの話、本当なのかも知れないな。もう一度、打診が来る前に確かめて……」
そうつぶやき、海に目を向けたところで――。
「……ん?」
アバントは視界の端に、何かを捉えた。
「あれは……?」
その正体を確かめようと、アバントは単眼鏡を取り出した。
「あっぶねえな、おやっさん」
「ああ……、ヒヤっとしたぜ、まったく」
「そりゃ、こっちの台詞だよ」
島を離れたクリオとアバントは、冷や汗を拭いつつ、会話に興じていた。
「……にしても、最近ひどくないか、レヴィア軍の攻勢は?」
「ああ、それはオレも思ってた。襲撃の数からして、今年だけで、オレたちがコッチに来てから襲ってた回数の、半分近くになる。
いくらなんでも、そんなに動き回ってて、金やら武器やらが持つワケがねーんだがな……?」
「うわさじゃ、どこかと取引してるらしいぜ。中央の方か、西方かは分からないが、大手の武器商人がバックに付いてるとか、付かないとか」
「付いてるのは確実だろうな。でなきゃ、ココまでやたら滅多らに暴れられねー」
「……」
二人の背後で話を聞いていたフォコは、そこで思わず口を挟んだ。
「中央の武器商人……、エンターゲート製造、とか?」
「あん?」「……」
きょとんとするアバントに対し、クリオは顔をしかめつつ、フォコの肩に手を置いてやんわりと諭した。
「かも知れねーが、根拠は無い。思い込みで適当なコト言っちゃいけねえよ、火紅」
「あ、……すみません」
と、クリオはアバントに気付かれないくらいの小さな声で、フォコをたしなめた。
「お前さん、ソレを口にしちゃならねーのが分からねーワケじゃないだろ? 二度と言うな」
「……」
「少なくとも、オレんトコにいる間は、だ」
「……何でですか」
クリオの言葉に、フォコは語気を荒くする。
「どうして言っちゃいけないんです? 狙われるからですか? あいつに? こんな、僕たちの他には誰もいない海の真っ只中で、何でそんなことを気にするんですかッ!?」
「てめ……っ」
「おやっさんがそんな小さい人だとは思わ……」「誰がチビだ、コラ!」
なお怒鳴り続けようとしたフォコの顔に、クリオはパンチを浴びせた。
「が……っ」
「いい加減に分かれや、オボッチャマが」
クリオは仰向けに倒れたフォコに顔を近付け、小声で、しかし重みのある、落ち着いた声でささやいた。
「お前さんのそう言うトコが、一番の弱点だ。
普段はヘロヘロしたガキの癖に、一旦怒り出すと見境無くわめく。ケンカを売っちゃいけねー相手、正面から向かっちゃならねー相手に、真っ正面から堂々とケンカを売る、その熱血バカっぷり」
「う……」
その真剣みを帯びた強い語調に、フォコは黙り込む。
「もっと冷静になれや、火紅。じゃなきゃ、てめーは猪だの虎だのの、単純バカな獣と同じだ。そしてオレは、そんな『動物』を飼う気はねー」
「……」
「ともかく、だ。今度同じコトしやがったら、砂猫楼から放っぽり出すからな。覚えとけよ、火紅」
と、そこでクリオはいつものような怒鳴り声を上げる。
「……まったく、誰がチビだっつーの!」
クリオはフォコから離れ、苛立たしげな足取りで去っていった。
「……」
クリオが去った後も、フォコは座り込んだままだった。
「やられたなぁ、ホコウ」
と、成り行きを見守っていたアバントが、フォコに手を差し伸べる。
「すいません」
フォコは左手で頬を押さえつつ、アバントの手を取った。
「ま、次は気を損ねないように気を付けないとな。
ところで……」
助け起こしたところで、アバントが尋ねてきた。
「君はエンターゲート製造と、何かあったのか?」
「え?」
「中央の武器卸売の大手なんて、いくつもある。その中からわざわざ、その商会を名指しにしたってことは、何かあったのかな、って」
「……いえ、別に」
「そうか」
「……いてて。ちょっと下行ってきます」
フォコは痛む頬をさすりつつ、その場を離れた。
「エンターゲート、……ねぇ」
後に残されたアバントは、もう一度その名前を口にした。
「あの話、本当なのかも知れないな。もう一度、打診が来る前に確かめて……」
そうつぶやき、海に目を向けたところで――。
「……ん?」
アバントは視界の端に、何かを捉えた。
「あれは……?」
その正体を確かめようと、アバントは単眼鏡を取り出した。



@au_ringさんをフォロー
総もくじ
双月千年世界 3;白猫夢

総もくじ
双月千年世界 2;火紅狐

総もくじ
双月千年世界 1;蒼天剣

総もくじ
双月千年世界 3;白猫夢

総もくじ
双月千年世界 2;火紅狐

総もくじ
双月千年世界 1;蒼天剣

もくじ
双月千年世界 目次 / あらすじ

もくじ
他サイトさんとの交流

もくじ
短編・掌編

もくじ
未分類

もくじ
雑記

もくじ
クルマのドット絵

もくじ
携帯待受

もくじ
カウンタ、ウェブ素材

もくじ
今日の旅岡さん

~ Trackback ~
トラックバックURL
⇒
⇒この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
NoTitle
しやたん、死亡フラグ読めなさすぎ。