「双月千年世界 2;火紅狐」
火紅狐 第4部
火紅狐・炸略記 2
フォコの話、154話目。
小悪党の叱責。
書いた本人が言うのもなんですが。
「『あ、……はあ』」から「『2時間にも……』」まで、読む必要はありません。
こんなん読んでたら、心が貧しくなります。
これを書いた時、当時就いていた職場で諍いがあった直後だったので、文章が荒れに荒れています。
読みづらい件、ここにおわび申し上げます。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
2.
南海中央の島、バジル島。
「これはこれは、スパス総裁! お待ちしておりました!」
「ああ、うん」
今や西方随一の商人に担ぎ上げられたアバントが、南海への視察に訪れていた。
この時訪れた店の一つ、バジル南商店の番頭が出迎えたところで、アバントは口火を切った。
「聞いたよ、あまり商売がうまく行っていないと」
「あ、……はあ」
「はあ、じゃないよ、君。いいかね、商売がうまく行かない、と言うことは、これはもちろん稼げていない、お金が入って来ない、と言うことだ。これがどう言うことか、ちゃんと分かっているのか?」
「えー、ええと、その、儲かってない、わけで、店にその、利益がない、と」
ぼんやりした問答にしどろもどろに答えた番頭に、アバントは侮蔑的な目を向ける。
「何だ君は! それでもこの島の店を任された番頭か!? まったく、勉強不足だ!」
「すみません」
「いいかね、お金が入って来ない、つまりは店の儲けがない、と言うことだ。つまりは支出するだけ、はっきり言って赤字だと言うことだ」
「え。……あの、それ、私が今言ったような」「何か言ったかね?」「……いえ」
無意味にいびり倒しつつ、アバントはベラベラとまくし立てる。
「その赤字を、どこで補填する? 君の財布からか? いや違う、私の金庫からだ。いいかね、君の怠慢で、私の蓄財が、つまりは商会全体の蓄財が減るのだよ? 君、一人の、せいで、だ。それを貯めるために、私がどれだけ、ど、れ、だ、け! 頭を悩ませているか、君に分かるかね?」「はあ」「いいや、分かるまいね。いいかね、君の想像をはるかに超える激務で、ようやく利益を絞り出しているのだよ、私は。君にも少しくらい負担してもらいたいものだよ、この苦労をね。ところがだ、君は私の苦労を軽減してくれるどころか、さらに増やしてくれると言うわけだ。いやぁ、私も結構な部下を持ったものだ。こんなに苦労ばかり重ねては、私は早死にしてしまうだろうね。うん、するだろうな。……おい君、まさか私が早く死んでほしいなどと、思ってはいないだろうな?」「いえ」「本当か? 思ってないと? 少しも? 嘘じゃないのか? 心の奥底で、チラ、と思ってるんじゃないのか? 私をなめるんじゃないぞ。私には分かるんだよ? 隠すなよ? ああまったく、嘘はつくわ苦労は増やすわ、本当に良くできた番頭君だ、なあ? もっと頑張ってくれなきゃ困るんだよ、私は。もっと稼がなきゃならないと言うのに、こんなくだらないミスで足を引っ張られては困る。分かるだろう? 分からないのか? 分かってもらわなきゃ困るんだがなぁ。全く頭も悪い、要領も悪い、金は稼げない。君は何のために生きているんだ? 何の意味も無いんじゃないか? さっさと死んだ方が世の中のためじゃないのか? 食糧一人分浮くだけの価値は出るだろう。君がいなければ誰か一人、余計においしいご飯が食べられるわけだ。どうだ? ん? 自分でどう思う? なあ? どうだ? なあ? なあ? 言ってみなさい? ん?」「わ、私は」「いいやもう、言わなくていい。どうせ陳腐な何かしか言えんだろ? 聞くだけ無駄だ。そんな無駄なことを聞くために、私は遠路はるばるこんな片田舎にまで来たわけではないからな。もっと有意義なことをするために来たわけだ。そうだろう?」「……はい」「ではそろそろちゃんとした話をしてくれないと困るな。うんうん相槌ばかり打ったって駄目なんだよ。さっぱり分かってないな、君は」
2時間にも渡っていびり続けた後、ようやくアバントは本題を切り出した。
「それで君、売り上げが下がっている主原因は何かね?」
「他店のシェアが伸びたのが原因かと」
散々悪口雑言を聞かされ、番頭は内心うんざりしながら応対した。
「他の店のせいか。そうか、君はそう言う人間なんだな。他人のせいで、自分に非はないと、そう言いたいわけだ、ん?」
「……いえ、そんな」
「君の怠慢のせいだ。それ以外に理由はない。我々の製品はどこよりも素晴らしいのだ。買わない理由はない。
いいや、それ以上に、我々以外の製品は、とっくの昔に締め出した。シェアも何もあるものか。我々のもの以外に、庶民は買うものは無いのだ」
「そんな……。実際に、他の店の」
「いいかね。君の、怠慢だ。それ以外に理由は、全く、無い」
番頭の意見を全く聞かず、アバントは話を切り上げた。
「良く頭に叩き込んでおけ。これ以上売り上げが下がったら、君には責任を取ってもらう。
今までの累積赤字をすべて、その体で支払ってもらうからな。西方にはまだ、未開発の鉱山がゴロゴロしている。働き手はいつでも不足だ。
使えない人間は、そこで飼い殺す。分かっているな?」
「それ……は……」
「それが嫌なら、どんな方法を使っても売れ。売りさばくんだ!」
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小悪党の叱責。
書いた本人が言うのもなんですが。
「『あ、……はあ』」から「『2時間にも……』」まで、読む必要はありません。
こんなん読んでたら、心が貧しくなります。
これを書いた時、当時就いていた職場で諍いがあった直後だったので、文章が荒れに荒れています。
読みづらい件、ここにおわび申し上げます。
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2.
南海中央の島、バジル島。
「これはこれは、スパス総裁! お待ちしておりました!」
「ああ、うん」
今や西方随一の商人に担ぎ上げられたアバントが、南海への視察に訪れていた。
この時訪れた店の一つ、バジル南商店の番頭が出迎えたところで、アバントは口火を切った。
「聞いたよ、あまり商売がうまく行っていないと」
「あ、……はあ」
「はあ、じゃないよ、君。いいかね、商売がうまく行かない、と言うことは、これはもちろん稼げていない、お金が入って来ない、と言うことだ。これがどう言うことか、ちゃんと分かっているのか?」
「えー、ええと、その、儲かってない、わけで、店にその、利益がない、と」
ぼんやりした問答にしどろもどろに答えた番頭に、アバントは侮蔑的な目を向ける。
「何だ君は! それでもこの島の店を任された番頭か!? まったく、勉強不足だ!」
「すみません」
「いいかね、お金が入って来ない、つまりは店の儲けがない、と言うことだ。つまりは支出するだけ、はっきり言って赤字だと言うことだ」
「え。……あの、それ、私が今言ったような」「何か言ったかね?」「……いえ」
無意味にいびり倒しつつ、アバントはベラベラとまくし立てる。
「その赤字を、どこで補填する? 君の財布からか? いや違う、私の金庫からだ。いいかね、君の怠慢で、私の蓄財が、つまりは商会全体の蓄財が減るのだよ? 君、一人の、せいで、だ。それを貯めるために、私がどれだけ、ど、れ、だ、け! 頭を悩ませているか、君に分かるかね?」「はあ」「いいや、分かるまいね。いいかね、君の想像をはるかに超える激務で、ようやく利益を絞り出しているのだよ、私は。君にも少しくらい負担してもらいたいものだよ、この苦労をね。ところがだ、君は私の苦労を軽減してくれるどころか、さらに増やしてくれると言うわけだ。いやぁ、私も結構な部下を持ったものだ。こんなに苦労ばかり重ねては、私は早死にしてしまうだろうね。うん、するだろうな。……おい君、まさか私が早く死んでほしいなどと、思ってはいないだろうな?」「いえ」「本当か? 思ってないと? 少しも? 嘘じゃないのか? 心の奥底で、チラ、と思ってるんじゃないのか? 私をなめるんじゃないぞ。私には分かるんだよ? 隠すなよ? ああまったく、嘘はつくわ苦労は増やすわ、本当に良くできた番頭君だ、なあ? もっと頑張ってくれなきゃ困るんだよ、私は。もっと稼がなきゃならないと言うのに、こんなくだらないミスで足を引っ張られては困る。分かるだろう? 分からないのか? 分かってもらわなきゃ困るんだがなぁ。全く頭も悪い、要領も悪い、金は稼げない。君は何のために生きているんだ? 何の意味も無いんじゃないか? さっさと死んだ方が世の中のためじゃないのか? 食糧一人分浮くだけの価値は出るだろう。君がいなければ誰か一人、余計においしいご飯が食べられるわけだ。どうだ? ん? 自分でどう思う? なあ? どうだ? なあ? なあ? 言ってみなさい? ん?」「わ、私は」「いいやもう、言わなくていい。どうせ陳腐な何かしか言えんだろ? 聞くだけ無駄だ。そんな無駄なことを聞くために、私は遠路はるばるこんな片田舎にまで来たわけではないからな。もっと有意義なことをするために来たわけだ。そうだろう?」「……はい」「ではそろそろちゃんとした話をしてくれないと困るな。うんうん相槌ばかり打ったって駄目なんだよ。さっぱり分かってないな、君は」
2時間にも渡っていびり続けた後、ようやくアバントは本題を切り出した。
「それで君、売り上げが下がっている主原因は何かね?」
「他店のシェアが伸びたのが原因かと」
散々悪口雑言を聞かされ、番頭は内心うんざりしながら応対した。
「他の店のせいか。そうか、君はそう言う人間なんだな。他人のせいで、自分に非はないと、そう言いたいわけだ、ん?」
「……いえ、そんな」
「君の怠慢のせいだ。それ以外に理由はない。我々の製品はどこよりも素晴らしいのだ。買わない理由はない。
いいや、それ以上に、我々以外の製品は、とっくの昔に締め出した。シェアも何もあるものか。我々のもの以外に、庶民は買うものは無いのだ」
「そんな……。実際に、他の店の」
「いいかね。君の、怠慢だ。それ以外に理由は、全く、無い」
番頭の意見を全く聞かず、アバントは話を切り上げた。
「良く頭に叩き込んでおけ。これ以上売り上げが下がったら、君には責任を取ってもらう。
今までの累積赤字をすべて、その体で支払ってもらうからな。西方にはまだ、未開発の鉱山がゴロゴロしている。働き手はいつでも不足だ。
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「それ……は……」
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読むなといわれると気になってついつい呼んでしまった!!11
女王は変わってるのにこいつはだめだなあ
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小人に権力を与えてはいけないという見本ですね。