fc2ブログ

黄輪雑貨本店 新館

黄輪雑貨本店のブログページです。 小説や待受画像、他ドット絵を掲載しています。 よろしくです(*゚ー゚)ノ

    緑綺星・奇家譚 4

    緑綺星 第3部

    シュウの話、第81話。
    橘家の食卓。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    4.
     七瀬の予想に反して――彼女が「商談」している間に、海斗は家に戻って来ていた。
    「ただいま。……いないの、七瀬さん?」
     汗を拭きながら家の中をうろついていると――。
    「あたしはいるけどね。おかえり、海斗」
    「あ、美園。いたの」
     そっけなく返事した途端、居間から虎耳の娘がぴょこんと顔を出した。
    「ママじゃなくて不満? このマザコン」
    「そんなんじゃないって」
     海斗は肩をすくめながら、自分の部屋に刀を投げ込む。
    「七瀬さんはさっきまでいたし、美園はさっきまでいなかったじゃん」
    「さっき『商談してる』ってTtT来たよ。海斗のスマホには入ってないの?」
    「ん……」
     言われて海斗は、自分のスマホを取り出して「あ」と声を上げる。
    「見てなかった」
    「アンタ、スマホはアクセサリじゃないのよ? ……って何回も言われてるじゃん」
    「うるさいなぁ……」
    「ソレより海斗、お腹空いてない?」
     美園に尋ねられ、海斗は自分の腹に手を当てる。
    「うーん……空いてるかも」
    「じゃ、何か簡単なの作るわね。一人分だけって作んのダルいしさ」
    「ありがと」
     手をぺら、と振り、部屋に引っ込もうとしたところで、美園が「ちょっとアンタ」と声をかける。
    「手伝いなさいよ。人にご飯作らせといて、自分はゲームするワケ?」
    「……分かったよ。何すればいい?」
    「粉測ってふるい掛けて。300グラム」
    「ん」
     二人並んで台所に立ち、料理を始める。
    「また素振り?」
    「うん」
     取り留めのない会話を交わしつつ、小麦粉と水、卵を混ぜ、生地を作る。
    「キャベツ入れる?」
    「流石に粉と卵だけじゃ食べた気になんなくない?」
    「だよね」
    「あ、キャベツって言えばさ、今日学校でスミのヤツが持って来た弁当、中身全部キャベツだったんだよね。ご飯も無しでマジでキャベツだけしか入ってないの。ダイエットしてるって言ったけどさ、案の定5限終わってすぐ『おやつ無い?』って。結局食べてんじゃんって」
    「……ふふ」
     美園が生地を焼いている間に、海斗は皿とソースを取り出す。
    「楽しそうだね、相変わらず」
    「まーね。……ねえ、海斗」
     出来上がった粉焼きを皿に載せながら、美園が神妙な顔で尋ねる。
    「やっぱ学校行きたいんじゃないの?」
    「……いいよ、別に。行ってもあんまり楽しくなさそうだし」
    「楽しいって。……いや、ま、アンタがガチ陰キャであたしたち以外と話すの大嫌いだってのは知ってるけどさ、でも『仕事』以外はずーっと素振りするかゲームするかじゃん」
    「僕にはそれが楽しいんだよ」
    「……ん、まあ、うん。アンタがソレでいいなら、……まあ」
     冷蔵庫からペットボトルを取り出しながら、美園は話を続ける。
    「でも将来の不安とか無いの? 今どき学歴ナシってヤバいと思うんだけど」
    「ウラじゃあんまり関係ないもん」
    「オモテでだって生活があるじゃん」
    「適当にごまかすよ。みんな学歴書いたボードを首から提げなきゃいけないわけじゃないし、偉そうにしてたらみんな、『ふーん、そう言うタイプか』って勝手に勘違いしてくれるよ」
    「……んもー、あー言えばこー言う。んなトコわざわざ似なくていいのに」
    「ここで暮らしてたらそうなるよ」
     と――玄関から、「ただいまー」と声が飛んで来る。
    「おかえりー」
     二人揃って応じたところで、七瀬が「あれ?」と返してきた。
    「なんか焼いてる?」
    「小腹空いたから粉焼き作ってた」
    「いーなー」
    「多分そー言うだろーなーって思って、ママの分も生地作ってるよ。ね、海斗」
    「うん」
     買い物袋を提げて台所に入って来た七瀬は、嬉しそうに尻尾を揺らした。
    「やった! スーパーでコロッケおやつにしよーかどーしよっかって悩んでたけど、買わなくて正解だったわ。すぐしまうから一緒に食べよ」
    「手伝うよ、七瀬さん」
    「ありがと」
     二人で買い物袋の中身を冷蔵庫に入れている間に、美園が3枚目の粉焼きを焼き始める。
    「先に二人で食べてて」
    「ありがとね、美園」
    「じゃ、いただきます」
     海斗と七瀬は同時にテーブルに着き、揃って合掌した。

    PageTop▲

    緑綺星・奇家譚 3

    緑綺星 第3部

    シュウの話、第80話。
    鉄道計画裏事情。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    3.
    「そこまでお調べしていると言うことは、その……、私の素性もご存知なんでしょうね」
     恐る恐ると言った口ぶりで尋ねる高山に、七瀬も小さくうなずいて返した。
    「黄グループ都市開発部門鉄道事業部の偉い方、と言うところまで。無論、本名も存じていますが、それをわざわざ今ここで言及する必要性はありませんから、今後も『高山さん』と呼ばせていただきます」
    「は、はい」
    「3週間前、私どもはあなたから一度目の依頼を受けました。非合法な土地ブローカーを排除してほしいとのご依頼でしたね。そして先週の二度目の依頼ですが、こちらは前述したブローカーの共同経営者。そして昨日のご依頼で排除した人物は、その両者に土地を転売していた業者の一人であったことが、私どもの調査により判明しております。
     そして今回以降の依頼ですが――最終的には恐らく、この人物が標的ではないかと推察しています」
     七瀬はファイルをめくり、いかにも裏社会に通じていそうな、趣味の悪いスーツの男が写った写真を示した。
    「日吉先太郎――表向きは央南中西部の不動産を手掛ける実業家ですが、裏の顔は篠雲会幹部の一人。これまでの三度の依頼で排除した人物たちに資金と情報を提供していた張本人でもあります。
     そして彼が現在密かに進めている不動産買収計画ですが、このほとんどが、あなた方が計画している新線敷設候補地と重複していることを考えると……」
    「ええ、お察しの通りです」
     高山は一際渋い顔をして、こくりとうなずく。
    「篠雲会はこれまでにも我々の――都市開発部門の事業計画に関わっており、事実として、弊社の成長に少なからず寄与してきました。彼らがいなければ、今日の弊社は無かったとも言えます」
    「でしょうね。前世紀の状況で央南全域にわたる鉄道網を敷設しようにも、当時の黄家や央南連合の力だけでは到底、実現は叶わなかったでしょうから」
    「ですが時代は変わりました。私の前任の代まで続いてきた関係を今後も維持することは、もはや弊社にとっても、そして社会にとっても害にしかなりません」
    「ですから『この私が正義を示す』、……などと仰るつもりですか?」
     薄く笑いながらそう尋ねた七瀬に、高山は首を横に振って返す。
    「そんな偽善を言っても、本意は十分ご存知でしょうからね……。ええ、理想論だけの話ではありません。先程あなたが言及した新線敷設計画、これにも篠雲会は介入しようとしており、彼らは既に我々が買収しようと考えていた土地を先んじて取得しています。遠からず、彼らはこの土地を――買値の何倍もの額で――売りつけるつもりでしょう。
     無論、社内では応じるべきではない、断固として関係を断つべきと言う意見も多数ありましたが、相手は反社会的組織、いわゆる暴力団です。うかつに手を切るような姿勢を見せれば、どんな報復に出るか分かりません」
    「と言って既に計画の変更も中止も困難な段階にあり、このままでは言うなりになるしかない。そこでいっそ強硬策を講じ、彼らを『物理的に』排除してしまおう、と」
    「ええ」
    「そう言ったお心積もりでしたら、進捗状況に大きな問題がありますね」
     そう返して、七瀬はファイルを閉じる。
    「これまでに排除した相手はいずれも小物です。この程度の相手を何人排除しても、相手の計画を阻止することは不可能でしょう」
    「で、ではあなたは、直に日吉を狙えと?」
    「できれば初手でそれを依頼していただければ、非常に助かりました。相手が警戒していない内に行動すれば、リスクも少なかったのですから。しかしこの3件で、相手は確実に警戒しています。警戒されればされるほど排除が困難になるのは、当然の理屈でしょう?」
    「ふ、ふむ、そう、ですね」
     やんわりと叱咤され苦い顔をする高山に、七瀬が畳み掛ける。
    「この期に及んで小物ばかり狙っていては、そう遠くない内、相手はあなた方が黒幕、依頼者であると断定するでしょう。そうなれば危険は現場担当だけではなく、あなた方にも及びます」
    「う……」
    「恐らくこれまでの3件はトライアル(性能試験)のつもりも含まれていたのでしょうが、もう結果は出ているはずですし、これ以上は不要かと。『本番』に進みましょう」
    「……そ、そうですね」
     高山は額に浮いた汗をぬぐい、小さくうなずいた。
    「では……排除を、日吉の排除を、お願いします。報酬はこれまでの3倍、いや、5倍の80万玄でいかがでしょう?」
    「8倍、130万玄を要求します。先程も申し上げた通り、状況は緊迫化していますから。『急場は割増』がこの業界の鉄則です。とは言え雑魚10名を排除するよりは安上がりでしょう?」
    「……承知しました。その条件で、よろしくお願いします」

    PageTop▲

    緑綺星・奇家譚 2

    緑綺星 第3部

    シュウの話、第79話。
    少年と母親、暗殺者と代理人。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    2.
     カチカチとコントローラの音が響く部屋に、虎耳の女性が入って来る。
    「振り込まれたわよ、報酬」
    「……」
     声をかけられ、モニタの前で黙々とゲームをプレイしていた長耳の少年は、イヤホンを外して虎耳の方に振り向く。
    「いくら?」
    「16万8千玄。ま、そんなもんって感じかしらね」
    「安いね」
     会話を交わしつつも、彼の手はせわしなくコントローラを操作し続けている。
    「一国の首脳ならともかく、町の嫌われ者程度じゃね。ソレでも今回のターゲットが死んだコトで、あの辺りの中小企業だとか個人経営店はホッとしてんじゃないかしら。かなりアコギな地上げを繰り返してたみたいだし……」「話はそれだけ?」
     虎耳に背を向け、彼はまたゲームに没頭しようとする。が――。
    「……あ」
     モニタには試合結果が映されており、どうやら彼の勝利を知らせているらしかった。
    「相変わらずの腕前ね。今の今まであたしと話してたのに」
    「ポイントを押さえれば楽勝だよ」
    「って言われても、あたしにはピンと来ないわ。そーゆーのってリアルタイムで状況が変化するもんじゃないの? オンライン対戦でしょ?」
    「誰にだって攻めるぞってタイミングがあるから、相手のそれをかわせば絶対にやられない。逆にそのタイミングを外したとこで襲えば、簡単に倒せる」
    「ゆうべの依頼みたいに?」
     そう問われ、少年は首を横に振った。
    「あれはもっと簡単。相手は完全に別のことに気を取られてたもん。あれじゃ『どうぞ襲って下さい』って言ってるようなもんだよ」
    「ソレで実際に襲えるのはアンタだけよ。……っと、ゴメンね」
     虎耳がポケットからスマホを取り出し、画面を確認したところで、少年はもう一度イヤホンを付けようとしたが、虎耳が「海斗」と彼の名前を呼んだ。
    「なに?」
    「次の仕事の準備しといて」
    「……立て続けだね」
     コントローラを置き、海斗は虎耳にもう一度向き直った。
    「アンタの仕事っぷりが気に入ったみたいよ」
    「そう」
     海斗はゲームの電源を落とし、壁に立てかけていた刀を手に取った。
    「昼間は素振りやめときなさいよ」
    「大丈夫だよ、七瀬さん」
     海斗はにぃ、と薄く笑って返す。
    「誰にも気付かせないことに関しては、僕は誰よりも上手いから」
     海斗が部屋を出たところで、七瀬はスマホをタップし、メールの文面を確認した。
    「……『詳細については直接会ってお話したく存じます』、か。海斗が戻って来るのが2時間くらい後だから、十分間に合うわね」



     七瀬が近所の喫茶店に到着したところ、取引相手の短耳が遠慮がちな仕草で手を挙げるのが確認できた。
    「あ、どうも……橘さん。ここです」
    「どーも」
     相手の対面に着き、七瀬はにこっと会釈しておく。
    「昨日の今日ですぐに次のご依頼ですか。よほど切羽詰まっているか、あるいは、よほどこちらの腕を買っているか、……と言ったところでしょうか」
    「どちらもです」
    「それはどーも」
     もう一度、にこっと会釈して、七瀬はかばんからファイルを取り出した。
    「その切羽詰まった事情と言うのは、もしかしてこちらの件でしょうか?」
    「……っ」
     ファイルにとじられていたとある工事計画の書類を見て、相手の顔がこわばる。
    「あの、それは」「高山さん」
     三度会釈してから、七瀬はこう続けた。
    「私どもの鉄則は『目鼻と頭を利かせろ』――どんな情報でも逃さず集め、それが何を意味するかを推測・推察する。でなければこの業界では生き残れませんから」
    「……このファイル、脅しの材料にするおつもりですか」
    「いいえ」
     ファイルを手元に寄せ、七瀬は首を横に振る。
    「その点はご心配なく。私どもの仕事はあくまでも『受注』であり、『自社生産』はしておりませんから」
    「は、はあ……」
    「それよりも私どもにとって重要なのは、あなた方と『篠雲会』にどんなつながりがあるのか。そしてあなた方が何故彼らを消そうとしているのか。それを把握しておかなければ、私どもも危険にさらされかねません。
     どうぞ、包み隠さずお話しください」
    「……はい」
     七瀬の圧力に屈したらしく、高山は小さくうなずいた。

    PageTop▲

    緑綺星・奇家譚 1

    緑綺星 第3部

    シュウの話、第78話。
    薄暗い街の片隅で。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    1.
     時は双月暦506年。

     夜道を駆ける、三毛耳の猫獣人の少女がいた。
     名を、晴奈と言う。
     央南地方で名を馳せる大商家の令嬢であったが、先刻その身分を自ら捨ててきた。
     彼女には志ができたからだ――「あの人のように、強い剣士になりたい」と。

     元々、彼女は何不自由なく育てられていた、箱入り娘であった。ゆくゆくは婿を取らせて家を継がせようと、親が決めていたのだ。
     だが晴奈には、それが何よりの不満になっていた。彼女は物心ついた時から、「自分の人生は自分で決める」「親でも自分を縛れない」と考えるようになっていた。
     そして今日、晴奈はある者との出会いで、その思いをより明確で、具体的なものにしたのだ。
     その結果として今、晴奈は夜道をひた走っていた。「その人」に、もう一度会うため。そして新たに抱いた彼女の志を、全うするために。

     彼女こそ、後に「蒼天剣」の異名を取った女武芸者、セイナ・コウ(黄晴奈)である。
     これより、その物語を――彼女が志を抱き、央南に一大勢力を築く剣術一派、焔流に入門するところから――




    「おい、そのテレビ換えろ! チャンネル換えろ!」
    「え? あ、は、はい!」
     いかにも柄の悪そうな男に怒鳴られ、気の弱そうな店主が慌ててリモコンを操作する。
    「な、何にしますか?」
    「あ? んなもんお前が気ぃ効かせろや! なんでもかんでも聞いてくんじゃねえ!」
    「はっ、はい!」
     テレビの画面が大河ドラマから、いかにも頭の悪そうな芸人がひな壇に並ぶバラエティ番組に切り替わる。司会者がゲラゲラ笑いながら彼らを罵倒している様子を見て、男はようやく満足げな顔をした。
    「……ったく、とりあえずキレイなオンナ出しとけばいいやみてえなクソドラマなんか流してんじゃねえよ。ハラ立つんだよ、クソが」
    「す、すみません」
    「大体メシが出てくんのも遅えし、脂っこいだけでクソまずいし、流してるテレビ番組もセンス悪いしよ、やっぱお前畳めよ、この店よぉ?」
    「い、いやー、その……」
    「なっ? そうしろよ? そっちの方がいいって。この辺駐車場も無えし、みんな喜ぶぜ、な? どうせお前の店なんて誰も来やしねえんだからよ」
    「そ、その……あの……」
     困り果てた顔をする店主に料理が残っていた皿を投げつけ、男は立ち上がる。
    「あー、胸クソ悪い。もう帰るわ。明日には書類もまとめとけよ。じゃーな」
    「え、あの、お、お、お代……」
     店主が申し訳無さそうに尋ねた時には、既に男は店を後にしていた。

     男は我が物顔で薄暗い路地をのしのしと歩き、やがてぴた、と立ち止まる。
    「うー……トイレ、トイレ、……チッ、無さそうだな。いいや、あの電柱で」
     電柱の前でズボンのジッパーを下ろし、男は用を足そうとする。
    「トイレもねえし……駐車場もねえし……アレだ、アレ、……えーと、ナントカのアレ、……都市整備ってもんがよ……」
     と――背後からじゃり、じゃりと足音が聞こえ、男は猪首を回して背後を確認しようとする。
    「何だよ、見てんじゃ……」
     威嚇じみた声を上げかけたが――その時には既に、男の首は地面に転がっていた。
    「……もしもし」
     男の背後に立っていた何者かが、長い耳に手を当ててぼそぼそとしゃべる。
    「終わったよ。後片付け、頼んどいて」
     刀を振り、滴っていた血を払って、彼は襟口に刀をしまい込んだ。

    PageTop▲

    人にやらせんのが楽しいのよ

    双月千年世界



    小鈴もシュウも、なんだかんだでゲーム好き。
    今日も近所のゲームセンターでクレーンゲームを楽しんでいた。

    小鈴「アレ取ってよ。あのたまのりしてるヤツ」
    シュウ「無理ですって……。アームよりでっかいじゃないですかー」
    小鈴「行ける行ける、上のコつかめば行けるって」
    シュウ「絶対落っことしますってー……」
    小鈴「いーからやってみって、ほら」
    シュウ「んもー……やってみますけども」

    小鈴に言われるがまま、シュウはボタンを押してクレーンを操作するが、
    シュウの予想通り、クレーンは一瞬たまのりうさぎを持ち上げるも、
    すぐにアームからぼたっとこぼれてしまった。

    シュウ「あー……落ちちゃった」
    小鈴「やっぱ上がんない?」
    シュウ「やー……でもバランスが合うよう上手いコトつかめば行けるんじゃって気もしますけどねー」
    小鈴「もっぺんやってみなさいよ。次行けるかもじゃん」
    シュウ「小鈴さんがやって下さいよー。なんでわたしにやらせるんですかー」
    小鈴「人にやらせんのが楽しいのよ。特にアンタにね」
    シュウ「なんでですか、もー……」

    PageTop▲

    2023年2月携帯待受

    携帯待受

    NISSAN FAIRLADY Z(Z32)

    NISSAN FAIRLADY Z(Z32)

    NISSAN FAIRLADY Z(Z32)  NISSAN FAIRLADY Z(Z32)

    2023年2月の携帯待受。
    日産のフェアレディZ。

    今年の携帯待受のテーマは「'90年代日本スポーツカー」。
    しかしこのフェアレディZ、販売開始は'89年。
    そこだけ聞けば条件にそぐわないものになってしまいますが、これを「'90年代」のくくりに入れたのには理由があります。

    周知の通り、'90年代はバブル崩壊に端を発する平成不況、日本経済凋落の始まった時期でもあります。
    日本を代表する企業が続々と経営不振・破綻に陥る中、日産自動車もまた、この波に呑まれてしまいました。
    バブル期まで好調だった高級車の販売不振、研究開発費をはじめとするコストの増大、
    マーケティング戦略の失敗、労使交渉の難航によるリストラ計画の破綻など、
    自動車産業のマイナス面がこの時期になって一気に表出したことにより、日産は約2兆円の負債を抱え、経営危機に陥りました。
    こんな状況だったため、トヨタのように「完全な新車(プリウスなど)を出して新しいニーズに応える」
    と言うような劇的かつ抜本的な経営判断などできるはずもなく、
    スカイラインやブルーバード、プリメーラなど、
    それまで好調だった車種に微妙なモデルチェンジを施してお茶を濁すような、
    積極性のない販売戦略しか行えませんでした。
    (その結果があのR33など。長年カーマニアやってる方なら、
    この1車種だけで日産の迷走ぶりを、何となく察することができるでしょう)

    そしてこのZ32型フェアレディZに至ってはモデルチェンジもされることなく、
    やはりその場しのぎ的なマイナーチェンジを11年に渡って繰り返した末、'00年に販売終了となってしまいました。
    このクルマはR33と並び、'90年代の日産と日本経済を、悪い意味で象徴するクルマと言えます。

    その後フェアレディZは新体制となった日産で復活することとなりますが、
    それはこちらの記事で説明しているので省略。



    次回もグラデーションの組み合わせについて、毎月上旬~中旬頃にtwitterにてアンケートを行う予定です。
    ブログトップページ、もしくはこちらから、私、黄輪のTLに飛ぶことができます。
    よろしければご参加下さい。

    Calender picture application by Henry Le Chatelier

    PageTop▲

    精一杯オシャレポーズして!

    今日の旅岡さん

    黄「今年の干支は兎! 兎と言えばウチの店員!
    だからほら兎倉、兎波! 精一杯オシャレポーズして!
    縁起いい猫ちゃんも持ってきたからコレ一緒に撮ってインスタにアップしてお店のアピールするよ!」
    兎倉「おkっす」
    兎波「へぇーい……」
    死んだ目をしているねこ車掌「……」



    と言うわけで鳥取駅から戻ってきて早々、
    ねこ車掌はアジアンスイーツ店店主の黄大姐に連れ去られてしまった。



    そしてInstagramやTikTok、Twitterなど、
    目ぼしいSNSに片っ端からアップしてみたところ、
    次のようなコメントが付いた。

    「ねこの目死んでて草」
    「てか店員の目も死んでない?」
    「真ん中のオバチャンの圧がすごい」
    「店員さんがおばちゃんにやらされてる感が半端ない」
    「おばちゃん必死すぎワロタ」

    コメントを見た瞬間、おばちゃ……もとい、黄さんの目も死んだ。

    PageTop▲

    2023 あけましておめでとうございます

    雑記



    明けましておめでとうございます。
    旧年中は大変お世話になりました。
    本年もよろしくお願いいたします。

    例年通り、新年のご挨拶としてドット絵イラストを掲載します。
    今年のねこ車掌は一体どこに出張したでしょう?
    ヒントは以下の3点。
    ・バスの塗装デザインはご当地のもの
    (車種は以前に制作した素材を流用したものであり、実在しているかは不明です)
    ・駅舎右側、ガラス窓の向こうに見えている列車
    (パンタグラフはありません)
    ・今年の干支と言うことで兎が大量に駅を訪れていますが、
    素兎(しろうさぎ)がチラホラいますね……

    分かった方はコメントにてお答え下さい。
    なお、解答は1月上旬に掲載します。

    PageTop▲

    クルマのドット絵 その91

    クルマのドット絵

    今年制作したクルマの紹介、最後はポルシェ。

    ・ポルシェ マカン(2014)
    PORSCHE Macan GTS(95BCNC)

    ・ポルシェ 718ケイマン(2016)
    PORSCHE 718Cayman GTS(982H2)

    ・ポルシェ 911カレラ(2018)
    PORSCHE 911Carrera GT3RS(992L30)

    間違いなく世界トップクラスの「高級自動車メーカー」であるポルシェですが、
    そもそも会社としての成立は、1930年代初頭に「車輌デザイン設計事務所」としてであり、
    当初は製造に手を付けていなかったとか。
    現在においても他メーカー、あるいは自動車以外の企業・政府筋からも設計委託を請けており、
    単なるいち自動車会社ではなく、「機械設計全般にかかわる民間シンクタンク」とさえ言える、
    とびっきり個性的な企業です。

    PageTop▲

    えっと、これ

    今日の旅岡さん

    今日は楽しいクリスマス。
    旅岡さん家ではいつものように円さんを交え、友達同士でクリスマスパーティを開こうとしていた。

    が、その前に……。



    大江「はいこれ。……えっと、これ、プレゼント。クリスマスのやつ。
    紅とゆっこが買おうって、で、あたしも買ったからついで、じゃなくて、えーと、ちゃんとしたやつ。
    その、いつもお世話になってるしって思って」
    円「アンタ今日はよーしゃべるなぁ。照れ屋さんやね」

    大江さんがそろそろと差し出した紙袋を、円さんがニコニコ笑いながら受け取る。

    円「ありがとなー、双葉。
    そうそう、実はウチからもプレゼントあるんよ。ほーらマフラー」



    大江「お、……お揃い?」
    円「せやでー。ウチが黄色でアンタがピンクのん」
    大江「えっと、……これって、その、……ペアルッk」
    円「あ、紅とゆっこちゃんにもちゃーんとおそろいにしとるからな。水色と緑色で」
    旅岡「ありがとなー、おねえ」
    富士見「ありがとうございまーす」
    大江「……あ、そうだよね、うん」

    円さんからもらったマフラーを巻いた大江さんは、とっても嬉しそうだった。

    PageTop▲

    クルマのドット絵 その90

    クルマのドット絵

    先週に引き続き、今年制作したクルマを紹介。

    ・アウディ R8(2016)
    AUDI R8(4SCSPF)

    ・BMW 320i M Sport(2019)
    BMW 320i M Sport(G20)

    ・BMW Z4 M40i(2019)
    BMW Z4 M40i(G29)

    日本ではすっかり下火な話題になってしまったモータースポーツですが、欧州では今でも激熱な話題。
    中でもドイツはドイツツーリングカー選手権やニュルブルクリンク24耐をはじめとして、
    多くのレースイベントが開催されており、各メーカーがあちこちでしのぎを削っています。
    実は日本車メーカーも参加しており、特に日産GT-Rなどが目覚ましい成績を挙げているとか。

    PageTop▲

    3DCG習作;エリザ

    習作・汎用

    VroidStudioでうちの娘を作ってみました。
    今回はエリザ。



    髪と狐耳のグラデーションが綺麗に作れたので満足。
    それにつけても尻尾の実装が待たれるところ。
    ケモミミがあって尻尾が無いのは片手落ちに感じます。



    ……でっかいなぁ

    PageTop▲

    2023年1月携帯待受

    携帯待受

    HONDA INTEGRA TypeR(DC2)

    HONDA INTEGRA TypeR(DC2)

    HONDA INTEGRA TypeR(DC2)  HONDA INTEGRA TypeR(DC2)

    2023年1月の携帯待受。
    ホンダのインテグラタイプR。

    と言うわけで2023年の待受は、「'90年代日本スポーツカー」を取り上げていきます。
    となるとホンダの「市販車レーシングカー」、タイプRのことを説明しないわけにはいきません。

    「タイプR」はホンダが'90年代から設定しているグレードで、「Racing(レーシング:競技)」のRから取られています。
    エンジンやサスペンション、ブレーキなど、標準グレードに比べてはるかに性能の高い装備で固められ、
    まさに「競技車仕様」の最上位グレード。
    車体色の「チャンピオンシップホワイト」もタイプR専用色と、細部にまでホンダのこだわりが見えます。



    次回もグラデーションの組み合わせについて、毎月上旬~中旬頃にtwitterにてアンケートを行う予定です。
    ブログトップページ、もしくはこちらから、私、黄輪のTLに飛ぶことができます。
    よろしければご参加下さい。

    Calender picture application by Henry Le Chatelier

    PageTop▲

    クルマのドット絵 その89

    クルマのドット絵

    先週に引き続き、今年制作したクルマを紹介。

    ・アウディ A8(2018)
    AUDI A8(F8CZSF)

    ・フォルクスワーゲン ポロ(2018)
    Volkswagen Polo(AWDLA)

    ・フォルクスワーゲン ゴルフ(2019)
    Volkswagen Golf VIII(CDDTS)

    フォルクスワーゲンが現在、世界最大の自動車グループであることは周知の事実。
    では現在傘下に収まっている自動車メーカーがいくつかと言うと……

    ・フォルクスワーゲン(中核企業。大衆車ブランド)
    ・ポルシェ(高級車ブランド)
    ・アウディ(高級車ブランド)
    ・トレイトン(商用車ブランド)
    ・ブガッティ(イタリアの高級車ブランド)
    ・ランボルギーニ(イタリアの高級車ブランド。アウディの子会社)
    ・ドゥカティ(イタリアのオートバイブランド。ランボルギーニの子会社)
    ・セアト(スペインの総合ブランド)
    ・シュコダ(チェコの総合ブランド)
    ・ベントレー(イギリスの高級車ブランド)

    ……と、日本では馴染みのないものも含めると10社以上にもなります。
    欧州全域をカバーしていると言っても過言ではない、超巨大企業です。

    PageTop▲

    クルマのドット絵 その88

    クルマのドット絵

    年末恒例。
    今年制作したクルマを紹介。

    ・メルセデス・ベンツ AMG GT R(2017)
    HONDA CITY TURBO II(EAA)

    ・メルセデス・ベンツ Aクラス(2018)
    ISUZU PIAZZA(JR130)

    ・メルセデス・ベンツ TheGLA(2020)
    MAZDA EUNOS ROADSTER(NA6CE)

    あ、全部銀色になっちゃった。
    ……メルセデスのコーポレートカラーですし、致し方ないか。

    メルセデスはモータリゼーション黎明期からレース活動に熱心でしたが、
    一度、ちょっとしくじってしまい、レースへ出場できなくなりかけたことがありました。
    フォーミュラカー、W25でとある大会に望んだ際、車体重量が大会規定より1kg多いことが判明。
    しかし限界ギリギリまでチューニングしていたため余分な部品は一切なく、
    最終手段、苦肉の策として、車体の塗装をすべて剥がしました。
    その結果、重量はギリギリ規定内に収まり、下地の銀色が丸見えになったままで出場。
    どうにか勝利を果たしました。
    以降、メルセデス・ベンツのコーポレートカラーは銀色となり、
    最新モデルのボディカラーにもしっかり銀色が設定されています。

    PageTop▲

    同じこと考えてそーだよね

    今日の旅岡さん

    もういくつ寝ると年末、と言う頃。
    街は緑と赤に彩られ、もうすぐやって来る大イベントに備え始めている。
    そんな最中、旅岡さんと大江さん、富士見さんは円さんのクルマに乗って、
    駅近くのショッピングモールに来ていた。

    円「ほな、ウチは駐車してくるから先に本屋行っといてなー」
    みんな「はーい」

    エレベータホール前で降ろされ、そのまま乗り込んだところで、
    旅岡さんが「なあなあ」と口を開いた。



    旅岡「今年のクリスマス、おねえにサプライズプレゼントしよかな思てるんよ」
    大江「いいじゃん。なんだかんだ色々お世話になってるもんね」
    富士見「でも紅ちゃんがそう考えるってことは、円さんも同じこと考えてそーだよね。似た者同士だし」
    旅岡・大江「……ありうる」



    なお富士見さんの予測は当たっていた。

    円「合流する前にしれっとナイショでプレゼント買うといたろーっと」

    PageTop▲

    2022年12月携帯待受

    携帯待受

    Porsche Carrera(992L30)

    Porsche Carrera(992L30)

    Porsche Carrera(992L30)  Porsche Carrera(992L30)

    2022年12月の携帯待受。
    ポルシェのフラッグシップカー、911カレラ。

    「世界一の自動車メーカー」と言われたら、あなたは何を挙げますか?
    高級車メーカーとして知られるフェラーリやランボルギーニ、メルセデスでしょうか。
    はたまた売上と組織力のトヨタやGM、ルノー・日産・三菱アライアンスでしょうか。
    候補は色々とあると思います。異論も山のようにあるでしょう。
    しかし本当に1つだけ、これぞ世界一だと言うメーカーを挙げろと言われたら、
    大半の人がポルシェと答えるのではないでしょうか。
    高級車であることもそうですし、売上も(フォルクスワーゲングループとして考えれば)堂々の1位。
    全面的に文句なしの、世界一です。

    その世界一のポルシェが自社の持てる力をすべて注ぎ込んで作った技術と叡智の結晶、
    フラッグシップカーが、かの有名な911カレラです。
    今年の携帯待受は「ドイツ車シリーズ」と銘打ち、1年にわたってドイツ車を描き続けてきましたが、
    その大トリに据える題材としてはこれ以上ない、いや、これ以外にはありえないでしょう。

    ただ、10年ほど前にヨーロッパツアーを行っていた際には、
    自分の技術と知識の乏しさから、911を描くことを拒否してしまいました。
    だもんでこの10年、微妙に後悔していたのですが、
    今回に至ってようやく描き上げることができ、積年の遺恨を晴らすことができました。



    次回もグラデーションの組み合わせについて、毎月上旬~中旬頃にtwitterにてアンケートを行う予定です。
    ブログトップページ、もしくはこちらから、私、黄輪のTLに飛ぶことができます。
    よろしければご参加下さい。

    Calender picture application by Henry Le Chatelier

    PageTop▲

    架空ロゴ;「テイル・トゥ・テイル」

    架空ロゴ



    緑綺星」に登場するスマホアプリ、「テイル・トゥ・テイル」のロゴアイコン。
    8世紀の双月世界ではダウンロード数堂々第1位のチャットアプリです。電子決済にも対応。
    現在執筆中の第3部にも登場します。意外なところでちょっと活躍するかも……?

    PageTop▲

    チョイチョイってなもんや

    今日の旅岡さん

    今年も虎海家のハロウィンパーティに招待された旅岡さんと大江さん。
    例によって例のごとく、円さんに衣装代をたかりに行ったところ、
    ――やはりいつものように二つ返事で「えーよ」と快諾されはしたのだが――
    なんとなーくイタズラっぽい笑みを浮かべていたことが、ちょっぴり気にかかった。

    そしてパーティの当日。いざ出かけようかとしていた旅岡さんたちの前に、
    クラシカルな'80年代スポーツカーに乗った魔女、いや、円さんが現れた。



    円「ハロウィンパーティ行くんやろ? ウチも一緒に行くで~。準備もカンペキや」

    突然の登場に、旅岡さんたちは面食らった。

    大江「いや、行くでって言われても」
    旅岡「おねえは招待されてへんやん」

    呆れた声を上げた二人に、円さんは数日前と同じ、
    イタズラっぽい笑みを浮かべて返した。

    円「と思うやん?ほーら招待状」

    円さんの言う通り、彼女の手には虎海家の家紋が付いた招待状が握られている。

    旅岡「どこでもろたん?」
    大江「円って、雅ちゃんと面識あったっけ?」
    円「ソコはチョイチョイってなもんや。ウチも仕事の筋で色々ツテがあるし」
    旅岡「おねえは仕事だけはホンマにでけるからなぁ」
    大江「だけはね」
    円「えらい言われよーやな……乗せたらへんで、もぉ」

    PageTop▲

    顔アイコン;パラ

    双月千年世界

    うちのキャラの顔アイコン、5人目。
    今回はパラ。




    「前回のランニャ制作時から、133日が経過しております」
    「徒然考察メンバーの顔アイコン完成率は、現時点で83.33%です」
    「本年年末までに全メンバーが揃う可能性は、現時点で1%以下と判別いたします」

    PageTop▲

    2022年11月携帯待受

    携帯待受

    Porsche Cayman(982H2)

    Porsche Cayman(982H2)

    Porsche Cayman(982H2)  Porsche Cayman(982H2)

    2022年11月の携帯待受。
    ポルシェのスポーツカー、718ケイマン。

    前回「基本的にどうぶつの名前が付いたクルマの隣にはそのどうぶつを置きます」
    と言った矢先ですが、今回はケイマン(ワニ)ではなく猫です。
    爬虫類もあんまり得手ではないので……。
    その代わりと言ってはなんですが、キャラの服装はケイマン(西インド諸島の方)をイメージした、
    カリブ感あふれるものにしました。背景もなんとなく海っぽい。



    次回もグラデーションの組み合わせについて、twitterにてアンケートを行う予定です。
    ブログトップページ、もしくはこちらから、私、黄輪のTLに飛ぶことができます。
    よろしければご参加下さい。

    Calender picture application by Henry Le Chatelier

    PageTop▲

    架空ロゴ;「セルバージャ・ロッソ」

    架空ロゴ




    架空ロゴシリーズ、アウトドア系ブランド「セルバージャ・ロッソ」。
    上部分の矢印は槍をイメージしたもの
    ハードな山歩きミリタリー級の用途にも耐えられる素材が売り。
    基本的に目一杯ハデな色合いしか揃ってない。何故ならアウトドアグッズだから。

    ※くれぐれもキャンプやハイキング、登山に行く際には、
    地味な色合いのものは着ないようにしましょう。
    ましてや迷彩服なんか、もってのほかです!
    万一遭難した場合、ほぼ確実に見つけてもらえませんので……。

    赤色大好きな猫藤さんが、結構ひいきにしているメーカーでもある。

    PageTop▲

    14周年記念イラスト

    双月千年世界



    本日10月6日は当ブログ「黄輪雑貨本店 新館」の開設記念日。
    と言うわけでうちのメインコンテンツ「双月千年世界」各章の代表的ヒロイン兼、
    小説内の設定や世界観を考察するメンバー5人+1人の集合イラストです。

    天狐「なんだ+1って。オレ見切れてるし」
    エリザ「ソコが『+1』なんちゃう?」
    ランニャ「だって天狐ちゃん、どの章でもヒロインじゃないし」
    天狐「くっそー……」
    パラ「とは言え天狐ちゃんは黄輪氏が最も気に入っていると公言しているので、
    何かの折にはメインヒロインに抜擢される可能性は非常に高いでしょう」

    天狐「だといーけどなー」
    シュウ「大丈夫です! きっと! 多分!」
    小鈴「自分が連載中のヒロインだからって図に乗ってんじゃないわよ。
    あんまり暴走するとヘンな目に遭わされるわよ?」

    天狐「今に見てろよー……次回作こそはオレがヒロインになってやるからな!」



    これからも当ブログと、彼女たちの出てくる「双月千年世界」をお楽しみに!

    PageTop▲

    業務連絡;復活しました

    雑記

    ご心配をおかけしました。
    個人的に色々ありましたが、復調しています。



















    PageTop▲

    お気に召したかしら?

    今日の旅岡さん

    趣味と言うものは、必ずしも周囲の理解を得られるものではない。

    ミリタリーモノが大好きな虎海お嬢様だが、家族からの反応はちょっとひんやりしている。
    両親からは遠回しにやめろと言われているし、妹からはもっとはっきり、
    「そんなお召し物では一緒に外を歩けません」と突き放されている。
    そもそも今の日本、軍事関係にあんまり熱を上げていると、
    変わり者か危険人物扱いされてしまう。
    虎海お嬢様は、そうした意見をおしなべて「偏見と誤解」「正しい理解ではない」と捉えているし、
    無理に理解してもらおうとも思っていない。
    でも同好の士がなかなか得られないのは、ちょっとさみしいのである。

    そんなある日のこと。
    いつものように軍服ワンピースでカッチリ決めて街をご散策されていると、
    通りの向こうからゴシックロリータの雰囲気をにじませた、長耳の女の子が歩いてくる。
    しかしどこか、物足りないような印象も受ける。
    「まだ」「あと一歩」「もう一息」、そんな様子だった。
    そんな彼女のしっくり来ない姿が目に映った瞬間、お嬢様は彼女に声をかけた。

    虎海「あなた……『同志』の匂いを感じますわね」

    突然声をかけられ、横を通り過ぎかけたその娘はくるんと首を回す。

    パラ「わたくしのことでしょうか」
    虎海「ええ。あなたもお好きでしょう?
    様式美と機能美を兼ね備えた、わたくしのような服装が」

    彼女はしばらく無表情で虎海お嬢様を見つめていたが、その仏頂面のまま、やがて口を開いた。

    パラ「否定はいたしません。いいえ、むしろ強く肯定いたします」
    虎海「ではついてらっしゃい」
    パラ「承知しました。わたくしもあなたの服装から
    高い共感性及び信頼性を確認いたしましたため、同行いたします」

    何だか質の悪い翻訳アプリにかけたような話し方のその娘の手を引き、
    虎海お嬢様はお気に入りのお店――ゴシックブランド「シェベル・ザ・ドール」直営店に向かった。



    店に入ったその瞬間――やはり無表情のままではあったが――
    パラの目の色が明らかに変わったのを、お嬢様は感じ取った。

    虎海「お気に召したかしら?」
    パラ「大変魅力的です」

    彼女は若干食い気味に、お嬢様の問いに答えた。
    その反応に、お嬢様はにこっと口角を上げる。

    虎海「色良いお返事ですわね。わたくしも紹介した甲斐があると言うもの。
    良ければ何点か見繕って差し上げますけれど、いかがかしら?」
    パラ「ありがとうございます。あなたに全幅の信頼をお寄せいたします」

    同好の士がなかなか得られないのは、やっぱりちょっとさみしいが――
    得られたその時は、何物にも代えがたい喜びを感じるものである。
    それは虎海お嬢様にとっても、そしてパラにとっても同様だった。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    そして全身ガッチガチにミリタリー風ファッションで固めて帰って来たパラを見て、
    小鈴が目を丸くした。

    小鈴「アンタ、ドコかに討ち入りでもする気なの?」
    パラ「これはわたくしの趣味です」
    小鈴「……あ、そ」

    他のみんなからもひんやりした反応を返され、
    その日のパラは、ちょっとさみしそうだった。

    PageTop▲

    2022年10月携帯待受

    携帯待受

    alt=

    Porsche Macan(95BCNC)

    Porsche Macan(95BCNC)  Porsche Macan(95BCNC)

    2022年10月の携帯待受。
    ポルシェのコンパクトSUV、マカン。

    「マカン」とはインドネシア語で虎を意味する言葉だそうなので、
    隣の大きさ見本キャラも虎にしてみました。
    基本的に車名にどうぶつの名前が使われているなら、
    そのどうぶつを描くようにしています。
    「インパラ」ならインパラを。
    「ラパン」ならうさぎを。
    もちろん「ジャガー」は全部ジャガー

    じゃあ「ビートル」ならカブトムシを描くのか、と?
    昆虫大嫌いだから絶対描きません。あしからず。



    次回もグラデーションの組み合わせについて、twitterにてアンケートを行う予定です。
    ブログトップページ、もしくはこちらから、私、黄輪のTLに飛ぶことができます。
    よろしければご参加下さい。

    Calender picture application by Henry Le Chatelier

    PageTop▲

    3DCG習作;シュウ

    習作・汎用

    先週に引き続き、Vroidstudioでオリキャラ制作。
    今回はシュウ。




    昔描いたイラストにかなり近い素材があったので、それをベースに仕立ててみました。


    キャラが大分揃ってきているので、一度集めて撮ってみたいところですが……セット組むのがめんどくさいなぁ……。

    PageTop▲

    3DCG習作;橘小鈴(2回目)

    習作・汎用

    Vroidstudioのバージョンアップによりおだんご髪が追加されたので、
    以前に製作した小鈴をリメイクしてみました。

    ちなみにこの髪型、本来はメタバース向け浴衣コレクション「CLCT for SUMMER」として配布されたそうなので、
    浴衣も着せてみました。

    PageTop▲

    業務連絡;毎年恒例の所信表明 2022夏

    雑記

    本日は私、黄輪の誕生日です。
    Happy Birthday to me.



    去年は運と体調が悪かったなぁ、本当に。
    まさか貯金が30万以上減るとは思わなかった。
    保険に入っていなければどうなっていたことか。

    今年は無事に家で誕生日を祝えています。ありがたい。



    相変わらずのオーバータスクにより、
    小説の進みがすこぶる遅いですが、コツコツ書いてはいます。
    今年中には「緑綺星」第3部を掲載できると思います。
    イラストについてはようやく描くルーティンが自分の中に構築されてきたらしく、
    土日の2日があれば1枚、2枚は余裕で描けるようになりました。
    あと、ブログではほとんど触れていませんが、ゲーム実況もボチボチと続けています。
    月3~4本と言う遅さではありますが……。

    アラフォーの身でもまだまだ意欲の増加、技術の成長は続いています。
    今後さらに面白いモノ、面白いと思ってもらえるモノを制作できるよう、
    活動はボチボチ続けていくつもりです。
    これからもよろしくお願いします。

    PageTop▲

    2022年9月携帯待受

    携帯待受

    VW Polo(AW)

    VW Polo(AW)

    VW Polo(AW)  VW Polo(AW)

    2022年9月の携帯待受。
    フォルクスワーゲンのポロ。

    今回は体調不良により更新が遅れてしまいました。
    夏バテ+連日の寝不足で倒れてしまい、土日が丸潰れに……(´・ω・)

    閑話休題。
    前回も少し触れましたが、VWは「ゴルフ」「シロッコ」「パサート」のように、
    風関係の名前を付けることが多い中、このポロは馬術競技のポロが由来。
    それを除けばFF(フロントエンジン・フロントドライブ)レイアウトの、
    コンパクトにまとまったハッチバックと言う、
    まさに「フォルクスワーゲン(大衆車)」を体現したクルマと言えます。



    次回もグラデーションの組み合わせについて、twitterにてアンケートを行う予定です。
    ブログトップページ、もしくはこちらから、私、黄輪のTLに飛ぶことができます。
    よろしければご参加下さい。

    Calender picture application by Henry Le Chatelier

    PageTop▲

    イラスト;小鈴(蒼天剣、7回目) / アンタ本当にアクティブねー、いつもながら

    双月千年世界

    今回は日本一海が近いと評判のあの駅にやって来たねこ車掌。
    普段から無人駅で、この時間帯は観光客の姿もそんなに無く、駅にはねこ車掌の姿だけしか無い。
    誰もいないホームでひとり海を眺めてのほほんとしていたところ、突然ひょいっと抱きかかえられた。

    小鈴「なーにたそがれてんのよ、お昼前に」
    ねこ車掌「にゃん!?」



    基本的にいきなり抱き上げられるのは嫌いなねこ車掌だが、
    どうやら小鈴の場合は、抱かれる感触がとっても良かったらしい。
    膝に座らされた途端、目がとろんとし始めた。

    小鈴「アンタ本当にアクティブねー、いつもながら」
    ねこ車掌「うなーぅ……」

    と、そうこうしている内に、下半分が青く塗られた気動車が入構してくる。

    小鈴「どーする? もう帰る?」
    ねこ車掌「んな~ん……」
    小鈴「じゃ、夜まで?」
    ねこ車掌「うなー」
    小鈴「夜までね。夕焼けもすっごくキレイらしーもんね」
    ねこ車掌「なー……」

    小鈴はもうすっかり寝ぼけまなこのねこ車掌の前足をつかみ、
    気動車を降りる乗客と運転手に向けて、ぱたぱたと振って見せた。

    PageTop▲

    暑中お見舞い申し上げます

    雑記



    例年より一層の酷暑が続いておりますが、お元気でお過ごしでしょうか。
    節電を請う声が聞こえてくる一方、熱中症に気を付けよう、我慢せずクーラーを使おうと、
    左から右から異なる意見が炎暑の熱以上に暑苦しく飛び交ういつものご時世ではございますが、
    まずは己の身と健康を第一に考え、ご自愛くださいませ。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    今年の夏もねこ車掌が、どこかの駅を訪れました。
    クイズとしての難易度は若干低め。知ってる人は知ってる、夏の名所です。
    答えが分かった方はコメントをお願いします。いつものように、正解は後日発表予定です。

    PageTop▲

    ねこ車掌の運命やいかに……!?

    今日の旅岡さん



    天狐ちゃん「……」
    夜狼さん「……」
    ねこ車掌(ブルブル)
    一見、緊迫したシーンが展開されているようにも見えるが、実情はまったく違うのである。



    次の仕事に取り掛かる前に英気を養うべく、街をぶらついていたねこ車掌。
    ねこであるため、歩いているだけでも普通にかわいいともてはやされるし、
    写真を撮られてSNSに「#ねこ #カワイイ #帽子」などとタグを付けて投稿されてしまったりもする。
    この日もスマホを向けられたりなでなでふかふかもちもちされたりと、
    存分に可愛がってもらったので、気合も十分。
    さあ、次の仕事先に出かけるか――と意気込んだところで、ねこ車掌の前に天狐ちゃんが現れた。

    天狐ちゃん「おっ! お前さんかー」

    天狐ちゃんもかわいいモノは好きな性質なので、ねこ車掌を一撫でしてやろうと近寄ったところ――。

    夜狼さん「……!」

    天狐ちゃんの前に、やたら目つきの悪い「狼」の娘が現れた。
    彼女の姿、いや、目を見て、天狐ちゃんは警戒する。

    天狐ちゃん(コイツ……ナニする気だ? こんなかわいい猫ちゃんにらみつけやがって……?
    まさかコイツ、いじめるつもりじゃねーだろーな……!?)

    そんなことを考えていたが、彼女も自分の顔を鏡で見るべきである。
    何故なら天狐ちゃんも相当目つきが悪い方だからだ。
    そして天狐ちゃんの前に現れた夜狼さんも、ほとんど同じことを考えていた。
    かくして両者は互いに相手がねこ車掌をいじめようとしていると勘違いし、にらみ合う形になってしまった。

    災難なのはねこ車掌である。
    せっかく仕事への気分が高まってきたところで、こんな怖い娘二人に挟まれでしまったのである。
    溜まったやる気もすっかりしぼんでしまい、一刻も早く逃げ出したかったのだが、
    二人とも時折、チラチラとこっちをにらんでくるので、一歩も動けない。
    全国の鉄道をのほほんと渡り歩いてきた車掌も、こんな修羅場に巻き込まれた経験は無し。
    果たしてねこ車掌の運命やいかに……!?



    なお――この後、やはり偶然通りがかった旅岡さんが「あんたら何でこんなトコでメンチ切り合うてんの?」
    と介入してくれたため、ねこ車掌は無事に解放された。
    ついでに旅岡さんにわしゃわしゃふにふにしてもらい、
    改めて整ったねこ車掌は、意気揚々と仕事に出かけていった。

    PageTop▲

    2022年8月携帯待受

    携帯待受

    VW Golf(CD)

    VW Golf(CD)

    VW Golf(CD)  VW Golf(CD)

    2022年8月の携帯待受。
    フォルクスワーゲンのゴルフ。

    思いの外妖しげな背景になってしまいましたが、
    元々「ゴルフ」の名前は球をひっぱたくスポーツ競技のことではなく、
    湾岸を意味するドイツ語「Golf(ゴルフ)」が由来。
    そう考えればこのトロピカルじみた色合いも、
    陽気な海沿いの雰囲気と合っているのかも。



    次回もグラデーションの組み合わせについて、twitterにてアンケートを行う予定です。
    ブログトップページ、もしくはこちらから、私、黄輪のTLに飛ぶことができます。
    よろしければご参加下さい。

    Calender picture application by Henry Le Chatelier

    PageTop▲

    3DCG習作;橘小鈴

    習作・汎用

    Vroidstudioでまたうちの娘を作ってみました。
    今回は小鈴。


    小鈴と言えば後頭部のシニョンですが、今の僕の技術力では満足行く形が作れず。
    一応後ろから見ればちょこんと盛ってはあるんですが、
    イラストのような大きさにはなりませんでした。
    アクセサリにシニョン実装されないかなぁ。あと尻尾。

    PageTop▲

    アイス食べたいなぁ……

    今日の旅岡さん

    富士見「あっつぃ……」

    ダイエットのため野球部の猫藤さんの自主トレーニングに付いて来たものの、
    帰宅部の富士見さんでは体力的に釣り合わず、ランニング2km時点で早々にバテてしまった。

    富士見(あっついなぁ……あっついのに)

    一方の猫藤さんはランニング中に偶然横を走っていた銀髪狼っ娘と何故か競争を始めてしまい、
    すっかりヒートアップしていた。

    富士見(あっついのに雛ちゃん……なんであんな楽しそうに爆走してるんだろう……)



    ランニャ「あーはははは、もう一回! もう一回だ!」
    猫藤「ノリいいねぇ! よーし、もっぺんじゃ!」
    富士見(そろそろ止めた方がいいのかなぁ……二人とも顔、真っ赤だし……アイス食べたいなぁ……)

    富士見さんの頭の中にはもう、ダイエットのダの字も残っていなかった。

    PageTop▲

    「双月シリーズ」イラスト ~ ランニャ(野川真実さんより)

    他サイトさんとの交流

    野川真実(@MsTarepanda)さんよりイラストをいただきました。
    いつもありがとうございます!



    徒然考察メンバーのランニャ。
    すらっとスレンダーなおデコ狼娘。
    考察回では基本的に疑問をぶつける役回り。

    こないだ彼女の顔アイコンを作りましたが、今のところ実況動画での出演予定は無し。
    エリザ共々、いつか使いたいものです。

    PageTop▲

    旅岡さんの誕生日 / い、意外とガチの意見ね

    今日の旅岡さん

    6/27は旅岡紅子さんのブログ初登場日、そして誕生日。



    と言うわけで毎年恒例のポーズ。
    今年のスイーツはチョコミントスムージー。



    スイーツ店店長の黄さん「紅ちゃん、紅ちゃん。コレ今年の限定メニュー。どーね?」
    旅岡さん「チョコミント味やからスッキリ感は出とるし、アーモンドミルクがベースやからしつこくならへんし味もええねんけど、量が少な目やね。客側のコスパ悪いと『わーおいしー』で終わってリピート付かへんで。夏はどこの店も飲み物系スイーツ大売り出しやねんから、初動の一発で終わったら他のスイーツに競り負けて埋もれっぱなしになるで?」
    黄「……い、意外とガチの意見ね。わたし的に『わーおいしー』程度の期待してたよ」

    旅岡さんは食にはうるさい。

    PageTop▲

    2022年7月携帯待受

    携帯待受

    AUDI R8

    AUDI R8

    AUDI R8  AUDI R8

    2022年7月の携帯待受。
    アウディのR8。



    久しぶりにかなりガーリーな柄に仕上がってしまいました。
    クルマ自体はこれでもかってくらい硬派なものなのに……。

    もしアウディに怒られたら、色味を変えて差し替えます。



    次回もグラデーションの組み合わせについて、twitterにてアンケートを行う予定です。
    ブログトップページ、もしくはこちらから、私、黄輪のTLに飛ぶことができます。
    よろしければご参加下さい。

    Calender picture application by Henry Le Chatelier

    PageTop▲

    顔アイコン;ランニャ

    双月千年世界

    半年以上間が空きましたが、久しぶりにうちのキャラの顔アイコンを制作。
    今回はランニャ。




    「また難しそうな話題だぁ……」
    「まあ、そうなるよな」
    「えーと……それってどゆことさ?」

    PageTop▲

    双月世界地図;緑綺星(第2部)

    世界観・補足・考察

    「緑綺星」第2部の地図。



    リモード共和国の隠密特殊作戦部隊「ミューズ近衛騎士団」の一員となったエヴァは、
    下級騎士団員としての初仕事として白猫党領内、東の国境近隣を周回する任務に就きます。
    その詳細、そして真実は本編をお読みいただくこととして、各国の領地についての補足。

    白猫夢」から1世紀半近く経過する間に、経済破綻や戦争などで崩壊した国が近隣の大国に併合されたり、
    大国の中で内輪もめして分裂したりと、央北の勢力図は目まぐるしく塗り替えられていく一方、
    リモード共和国は「絶妙な外交」を続け、中立を保ち続けました。

    1世紀以上にわたり南北戦争(通称『長い7世紀戦争』)を続けていた白猫党ですが、
    休戦していた期間も少なからずあり、その合間、互いに相手を出し抜くべく画策していました。
    その一環として近隣国への侵攻・併合なども行われており、勢力圏は上述の時代よりも拡大されています。

    「緑綺星」はまだ激動の時代の渦中。
    この先もしかしたらまた、リモード共和国のように亡国の憂き目を見る国が現れるかも知れません……。

    PageTop▲

    えーやん♡

    双月千年世界

    うちのブログの考察メンバー、小鈴・シュウ・エリザの3人で、
    中華レストランにてランチタイム。

    小鈴「って真っ昼間っからガッツリお酒飲んでるし」
    エリザ「えーやん♡」
    小鈴「ってかアンタ、ご飯食べないの?」
    シュウ「アルコールだけ胃に入れるのは体に悪いですよー」
    エリザ「そんなん気にせーへんもーん♪ 煙草も吸うとるし」
    シュウ「自由ですねー」

    PageTop▲

    キャラ紹介;第2部

    緑綺星 キャラ

    「緑綺星」第2部のキャラ紹介。
    騎士団の遺志を継ぐ者、エヴァと、シュウの先輩。

    名前エヴァンジェリン・アドラー / Evangeline Adler
    性別・種族・生年
    身体的特徴
    女性 / 狼獣人 / 697年
    髪:黒 瞳:青 耳・尻尾:黒、先端に白
    長身、やや筋肉質 色黒
    職業「ラスト・ダークナイト」
    ガチのお嬢様で文武両道で孤高のワンマンアーミーって、
    腹立つくらい設定盛り込みすぎじゃないですか?
    でも性格も良いコなんですよねー。悪いトコどこだろ……あ、諦めか。
    一度決めたコトは曲げない頑固者ですよ。(文責:シュウ)

    名前カニート・サムソン / Canito Samson
    性別・種族・生年
    身体的特徴
    男性 / 短耳 / 690年
    髪:茶、瞳:黒
    中背、中肉
    職業雑誌記者
    インターン時代には色々お世話になりました。
    結構タメになるコトも教えてもらったので、
    ある意味わたしの師匠みたいなもんですねー。
    今でもちょくちょく連絡取って、
    相談に乗ってもらってます。(文責:シュウ)


    今作のキャラ紹介はあくまで、「シュウが出会った人を紹介する」形を取っています。
    なので第2部後半で登場したラモンについては、活躍してはいたものの、
    作中ではまだシュウが出会っていないため記事がありません。

    PageTop▲

    2022年6月携帯待受

    携帯待受

    AUDI A8

    AUDI A8

    AUDI A8  AUDI A8

    2022年6月の携帯待受。
    アウディのA8。

    以前にどこかで言ったかも知れませんが、アウディの車輌名に付いている数字は、
    クルマ自体の大きさに比例して大きい数字が付けられています。
    同じAシリーズでも、現行A1は全長*全幅*全高が4040*1740*1435(mm)なのに対し、
    このA8は5190*1945*1470(mm)と、かなり大柄なクルマになっています。
    次回紹介予定のR8も、もしコンパクトスポーツモデルが発売されたとしたら、
    名前はR1になるんでしょうか……?




    次回もグラデーションの組み合わせについて、twitterにてアンケートを行う予定です。
    ブログトップページ、もしくはこちらから、私、黄輪のTLに飛ぶことができます。
    よろしければご参加下さい。

    Calender picture application by Henry Le Chatelier

    PageTop▲

    業務連絡;「緑綺星」目次とあらすじを追加しました(第2部)

    雑記

    下記ページにて、「緑綺星」第2部の目次とあらすじを追加しました。

    http://auring.web.fc2.com/au-novel.html(目次)
    http://auring.web.fc2.com/ro-outline2.html(第2部あらすじ)

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    困った。第3部の展開がほとんど思いつかない。
    現時点で決まってることは第3部主人公の名前と特徴くらいです。

    ……ともかく他の予定をある程度片付けてしまってから、
    じっくり取り掛かろうと思います。

    PageTop▲

    緑綺星 目次(第2部;ラスト・ダークナイト編)

    双月千年世界 目次 / あらすじ

    絵師さん募集中!

    黄輪雑貨本店 総合目次 (あらすじもこちらにあります)

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    「緑綺星」第2部地図

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    「双月暦」の暦
    双月世界の魔力・魔術観について
    双月世界の種族と遺伝(2019年版)
    双月世界の戸籍

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    1話目から読みたい方はこちら



    緑綺星・狼嬢譚
    1 2 3 4
    緑綺星・闇騎譚
    1 2 3 4 5 6
    緑綺星・嘘義譚
    1 2 3 4 5 6 7
    緑綺星・友逅譚
    1 2 3 4 5 6
    緑綺星・奇襲譚
    1 2 3 4 5 6 7 8
    緑綺星・宿命譚
    1 2 3 4 5 6 7 8 9

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -


    第1部;猫報譚~白闇譚
    第2部;狼嬢譚~宿命譚
    第3部;奇家譚~震世譚

    PageTop▲

    緑綺星・宿命譚 9

    緑綺星 第2部

    シュウの話、第77話。
    広がる闇。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    9.
     シュウたちがリビングに入ると同時に、一行テロップが表示されていたテレビ画面は、金火狐総帥シラクゾ・ゴールドマンのバストアップに切り替わった。
    《本日報告された飛翔体によるテロ攻撃に関し、公安局に犯行声明が送られました。現在公安局にて大々的な捜査が進められている犯罪組織『ネオクラウン』からのものと思われます》
    「なんやて!?」
     先にテレビにかじりついていたジャンニが、憤った声を上げる。
    《声明によれば、今回のテロ攻撃は前述した公安局の捜査に対する抗議・報復行動によるものであるとのことです。これに対し我々金火狐財団は市民の安全、市国の公益を第一に考え、かつ、市国における不当な暴力を一切許容しないとする従来よりの姿勢を崩すことなく、断固として戦うことをここに宣言します》
    「何言うてんねん、こいつ。今までずっと逃げ回っとったクセして」
    「クソ、やられたな」
     ジャンニが呆れた表情を浮かべる一方で、天狐はあごに手を当ててうめいている。
    「恐らく白猫党からコイツに、内々で打診があったんだ。筋書きはこうだろう。『仮想敵を作ってやるから話を合わせとけ』とか何とかな」
    「仮想敵ってつまり、ネオクラウンか」
     一聖も同様に顔をしかめつつ、天狐と検討を重ねる。
    「そうだ。この流れになれば、『市国で起こってる問題は全部ネオクラウンのせい』ってスキームができる」
    「なるほどな。そして金火狐総帥自ら『ネオクラウンと戦う』と公言したコトで、コイツは疑惑の人物一歩手前の立場から一転、市国のヒーローに大変身だ」
    「自分への嫌疑を回避できるどころか、公安局も監査局ももうコレで、公にはシラクゾの捜査ができなくなる。してると分かりゃ、逆にシラクゾとその取り巻きから批難されちまうだろう。『あのヒーローを疑うのか』ってな」
    「公安と監査さえ黙らせりゃ、後は好き放題だ。カネもモノも『ネオクラウンと戦うため』の一言で用意できちまうってコトだ。実態がどうあろうとな」
     二人の話を聞いていたジャンニの顔に、次第に朱が指していく。
    「んなアホな! ほんなら何やな、白猫党に横流ししても『ネオクラウンと戦うためやねん』で済ましてしまえるっちゅうんか!?」
     怒りをあらわにするジャンニに、天狐と一聖は揃ってうなずいた。
    「そうなる。何だかんだソレらしい言い訳付けてな」
    「恐らくは元々から、そう言うシナリオを作ってたんだろう。いずれシラクゾにこう宣言させて、ココまでコソコソやってきた白猫党への支援を本格化、かつ、正当化させるつもりだったんだろう」
    「つまりお前さんのヒーロー活動――スチール・フォックスの存在があろうと無かろうと、何一つ想定外は無かったってコトだろう、な」
    「ウソやろ……!?」
     ジャンニは怒りに満ちた表情で、その場に立ち尽くしていた。
    「ほな何やねん……俺……何のために……今まで……」
     そのやるせない言葉に答えられる者はおらず、リビングにはテレビの声だけが流れ続けていた。

     と――そこでぺこん、とシュウのスマホが鳴る。
    「あ、ごめんなさい」
     何故か謝ってから、シュウがスマホを見る。
    「……え?」
     見るなり目を丸くし、シュウは一聖の肩をぺちぺち叩いた。
    「カズちゃんカズちゃんカズちゃん、大変です!」
    「痛ぇよ! 何がだよ?」
    「えっとですね、あの、エヴァから、メッセージが」
     しどろもどろに説明しつつ、シュウはスマホを一聖に見せた。
    「ん?」
     シュウのスマホには、こう表示されていた。



    「差出人 エヴァ
     件名 突然ごめん

     急いで伝えてほしいことがある。この動画を見たらすぐ、君のチャンネルで流してくれ。これをすぐ世間に伝えないと、世界は白猫党に支配されてしまうかも知れない。
     白猫党は難民特区を狙っている」


    緑綺星・宿命譚 終

    PageTop▲

    緑綺星・宿命譚 8

    緑綺星 第2部

    シュウの話、第76話。
    シュウ・メイスンのターニングポイント。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    8.
    「まあ、その、なんだ。またお達しがあったわけだが」
    「奇遇ですねー。わたしにもありましたよー」
     セーフエリアにて、シュウとカニートがまた、二人きりで話し合っていた。
    「わたしの方から先にお話した方がいいですかー?」
    「……だろうな」
    「じゃ、まずコレを」
     そう前置きし、シュウは自分のスマホに送られてきた文面を見せた。
    「トラス王立大学からの正式な返答文です。『エクスプローラ社よりシュウ・メイスン君および当校に対して損害賠償請求があったことを受け事実調査を行ったところ、インターン契約に関し、エクスプローラ社による重大な違反が判明した。この件は裁判所を通じて異議申し立てを行い、公正かつ厳正な判断がなされた後、しかるべき対応を執ることとする』、……ですって」
    「お粗末な話だよな。偉そうに賠償求めておいて、実は自分たちの側が約束破ってたって言うんだから」
     シュウが伝えた通り、王立大学の調査によりエクスプローラ社は、インターン契約に関する違反を犯していたことが判明した。契約上、インターン生はトラス王国首都、イーストフィールド市内でのみ作業補助を行うことが定められていたのだが――。
    「わたし市内どころか、今まさに特区にいますもんね。その上、リモード共和国とかにも行っちゃってますし」
    「だよな……」
    「あと、『適切な報酬を支払うコト』って契約に含まれてたんですが、コレもちゃんと支払われてなかったみたいですね。わたしだけじゃなく、他のインターン生にも」
    「ああ」
    「ソレどころか『逆らうと大学にマイナス評価を送るぞ』っておどして、結構ひどいコトしてたって……」「もういい。分かった。こないだのことは悪かった。謝る。俺の負けだよ」
     額を押さえたカニートに、シュウは肩をすくめて返した。
    「厳密にはエクスプローラ社の負けですね。でも昨日の今日で、よく大学側もこんなに早く調査できましたよね」
    「機を伺ってたって感じがするな。いずれ大々的に責め立てるつもりだったんだろう。エクスプローラ社はしてやられたってところだろうな。
     この件はかなり大事になるだろう。王国におけるメジャー三大紙のスキャンダルだからな。もしかしたら俺の今後にも響くかも知れん」
    「ソレでいっそ辞めちゃおうって考えてたり?」
     シュウの指摘に、カニートは苦笑いで返した。
    「まだそこまでは考えてないさ。……とは言え、いつかフリーになって世界中を取材して回りたいって夢はあるからな。今後の会社の展開次第じゃ、その予定を早めるかも」
    「わたしもやってみたいですねー、フリージャーナリスト」
    「お前はちょっと方向性が違うかもな」
     そう言われて、シュウは面食らう。
    「わたし、向いてないですか?」
    「もっといい道があるってことだ。お前は文章だけで食ってくには、キャラが立ちすぎてるよ。お前はもっと自由に、やりたいことを存分にやりまくれ。それが一番、お前向きだよ」



    「……ってアドバイスされたんで、今はこうしてチャンネル作ってクラウダーでやりたい放題やってるってワケですねー。バッチリ収益化もしてるんでそこそこ稼げてるんですよね、今」
    「ソレはどーでもいーぜ」
     話を聴き終えた一聖が突っ込む。
    「んで? なんでエヴァの話題、取り扱わなくなったんだ?」
    「リモード共和国の新政府が、エヴァを指名手配しちゃったからです。『リベロ・アドラー暫定大統領の命を狙ったテロリスト』だって。完全フリーのわたしでも、流石に軍事政権の指名手配犯を擁護するのはコワいので」
    「友達だっつってたのにか?」
    「その友達も、いきなり何も言わずにわたしの前から姿消しちゃいましたからね。ソレなのにわたしばっかり頑張って持ち上げるって言うのも、なーんかハラ立って来ちゃって」
    「ま、気持ちは分かる」
     と、そこへ天狐が慌てた様子で現れた。
    「お前ら、こっち来い! ニュースで速報出てるぞ!」
    「速報?」
    「金火狐総帥が会見する! 今日の件でだ!」
    「え……!?」
     シュウと一聖は顔を見合わせ、揃ってリビングへ駆け出した。

    PageTop▲

    緑綺星・宿命譚 7

    緑綺星 第2部

    シュウの話、第75話。
    ラスト・ダークナイト;その宿命のために。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    7.
    「トッドレールか?」
    「です。……もしもーし」
     電話に出た途端、あのキンキンとしたアルトの声がコクピット内に響き渡った。
    《もしもーしじゃねえよ、お前さんよぉ? なんだって白猫党のヘリなんざ奪ってやがんだ? 特区じゃ大騒ぎだぜ、『キジトラ猫獣人と真っ黒な狼獣人の二人がアジト襲った』っつって、血眼で探し回ってんぞ。俺らの寝床も引っかき回されてるしよぉ》
    「あ、えーと、そのー……」「トッドレール」
     エヴァはラモンのスマホを奪い、会話に割り込む。
    「あんた、ヘリの横流しはできるか? ヘリの売却代金は私とラモンとあんたで三等分だ。その上で150万コノンを、私の取り分から払う」
    《ああん? その声……もしかしてエヴァンジェリンか? まさかお前さんがラモンそそのかしたんじゃねえだろうな?》
    「答えろ。できるのか? できないのか?」
    《ソレが人にモノ頼む態度かよ? まあいい、ツテはある。だが特区にゃ持って来れねえやな。今ドコ飛んでんだ?》
    「えーと……ウォールロック山脈近くです。リモード共和国から南に100キロくらい」
    《じゃ、そのまま山越えろ。南側東沿いのふもとにロータスポンドって町がある。今から向こうの知り合いに電話してやっから、ソコで落ち合おうぜ》
    「助かる」
    《また後で連絡する。じゃあな》
     電話が切れ、コクピットに静寂が戻る。
    「なんか勝手に三等分されましたけど……まあ、元からタダでもらったようなもんですし、いいです、それでも」
    「悪いな」
    「じゃ、南に向かいます。ナビ頼みます」
    「ああ。ロータスポンドだったな。スマホこのまま借りるぞ」
    「どうぞ」
     スマホで付近の地図を確認しつつ、エヴァはぼそ、とつぶやいた。
    「これでとりあえず、活動資金は作れそうだな」
    「活動資金? 何のです?」
    「白猫党と戦うためのだ」
    「は?」
     ラモンの動揺が操縦桿に伝わり、ヘリがわずかに傾く。慌てた様子で戻しながら、ラモンがおうむ返しに尋ねた。
    「白猫党と戦うですって? 何言ってんですか?」
    「白猫党は私の故郷を襲い、兄と祖父を殺した相手だ。復讐するのは道理だろう? 何よりああまで卑怯千万な方法で侵略するような奴らを、許しておくわけには行かない。放っておけばさらなる非道を繰り返し、いずれ世界に害をなすだろうからな」
    「別にエヴァさんがやる必要無いじゃないですか」
     奇異なものを見るような目で、ラモンが顔を覗き込む。
    「この世界には悪い奴や嫌な奴なんて、そこら中にゴロゴロいるんですよ? どうしようもないクズだって、掃いて捨てるほどいます。そんなのを一々、たった一人で相手してたら、体が持ちませんよ。
     それに復讐だとか正義のためだとか、そんなことのために人生、使うもんじゃないです。誰もほめちゃくれないし、もちろんおカネにだってならないですし。正義の味方なんて、わざわざ現実でやる必要は無いですよ」
    「君はそうかも知れない。でも私には、それしか無い、それにしか、生きる意味が見出だせないんだ」
    「ほんっとにエヴァさんは、僕たちと違う世界を生きてる人なんですね」
     しばらく沈黙が流れ――そしてラモンもぽつぽつとした口調で、こうつぶやいた。
    「でも……まあ……カッコいいですよ。眩しい……生き方です」
    「ほめてくれてるのか?」
    「そのつもりです」
    「……ありがとう」
     そのままヘリは南へと進み――エヴァンジェリン・アドラーは央北を離れた。



     ほぼ同時刻、某所――。
    「ウソだろ……」
     真っ青になった画面を前にした彼の顔もまた、青ざめていた。冷汗を拭いながらキーボードを叩くが、何の反応も返って来ない。
    「SD714が……最新の戦闘ドローンが1機残らず全滅なんて……まさか……そんなバカな……」
     男はガタガタと椅子を鳴らし、立ち上がる。
    「これ……まずいよな。こんなのが上に知れたら、減給どころの話じゃないよ。下手したら処刑モノだ」
     男は机に置いていた財布やスマホをかき集め、その場から離れようとする。と――。
    「腕時計はいいの?」
    「へ? ……~っ!」
     振り返ったところで、机に置いていたはずの腕時計を鼻先に差し出され、男は硬直する。
    「か……かかか……閣下!?」
    「全て見ていた」
    「そ……そう……です……か」
    「被害額は90億クラムと言ったところ?」
    「う……」
     男はその場に座り込み、頭を床にこすりつけて謝った。
    「申し訳ありません! とんでもないことになってしまい、本当に、あの……」「構わない」「……え?」
     顔を上げたところで、閣下と呼ばれたその短耳はくる、と背を向ける。
    「SD計画とMPS計画のデータは十分取れたと言っていい。費用対効果は十分。リモード共和国も手中に収めた。今、新たなリベロ役を手配している。損害も補填の目処が立っている。今作戦は万事において問題無しと判断。あなたはまだ有用。処刑の必要無し。席に戻って。以上」
    「……はい、閣下」
     男が腕時計を受け取り、そろそろと席に戻ったところで、「閣下」は淡々とした口ぶりでこう続けた。
    「エヴァンジェリン・アドラー。彼女は我々の脅威足りうる。彼女を探し出し、抹殺しなければならない。情報があれば速やかに知らせること。以上」

    PageTop▲

    緑綺星・宿命譚 6

    緑綺星 第2部

    シュウの話、第74話。
    ミッション・インコンプリート。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    6.
     その時だった。
    《……さん! エヴァさん! 聞こえ……すか!?》
     まだ耳に付けたままだった通信機から、とぎれとぎれにラモンの声が聞こえてきた。
    《急い……陰に隠……て! 航……支援し……す!》
    「……!」
     エヴァは小銃を捨て、ばっと身を翻す。
    《おいおい、まだやる気なの?》
     一方、エヴァとラモンのやり取りに気付いていないらしいSD714は、続々と大統領官邸に進入してくる。
    (59機……コンテナから10ずつ……4つ……40……裏手……確かコンテナが1つ……多分あれで全部……今だ!)
     エヴァは官邸の生垣を突っ切り、大通りへ転がりながら、通信機に怒鳴った。
    「ラモン! 撃て! 官邸の庭だ!」
    《了解!》
     次の瞬間、どこかから風切り音が鳴る。そしてSD714が今まさに包囲しようとしていた前庭にミサイルが着弾し――SD714たちはあっけなく吹き飛ばされた。
    「うわ……っ」
     きれいに整えられていた生垣も爆炎とがれきで消し飛び、地面に倒れ伏していたエヴァに大量の粉塵と焼けた枝葉が降りかかる。
    「げほ、げほっ……、くそ……体中が……痛いな……耳もだ……」
     がらん、とエヴァの前に、リベロを模したSD714の頭が転がってくる。
    「……チッ」
     白猫党に対する忌々しい気持ちも、兄と祖父に対する憐憫の情も――そして自分の過去の過ちに対する忸怩たる思いも込めて、エヴァはその頭部を蹴っ飛ばした。
    「ラモン、今どこにいる? 急な計画変更ですまないが、来れたら迎えに来てほしい」
    《そう言うと思って、今そっちに向かってます。って言うか、でなきゃヘリで航空支援なんかできないでしょ?》
    「悪いな、助かる。ランディングゾーン(ヘリの着陸指定地点)は君が今、ミサイルを撃ち込んだ官邸前庭だ」
    《大丈夫です? 敵が集まって来るんじゃ……》
    「その点は心配いらない。敵自ら得意げにあのガラクタどもの総数を教えてくれた上、その全機が前庭に集まって来ていたのを確認している。歩兵戦力についても全員ただのエキストラ役者でしかないと、ご丁寧に教えてもらったよ。であれば地対空攻撃なんか用意しているわけが無い。仮に用意していたとしても、偽者兵士じゃ使い方も分からんだろう」
    《了解です。30秒で向かいます》
    「頼んだ」
     まもなく北東から、ヘリのローター音が聞こえてくる。到着までのわずかな時間、エヴァはあちこちで黒煙が上がる、自分が生まれ育った街の大通りを見回し、ため息をついた。
    (ARRDKは撃破したが、白猫党が背後にいるとなればバックアップ策も講じているだろう。私一人じゃ、共和国の奪還は不可能だ。
     だが、私の誇りにかけて誓おう。この国はきっといつか、必ず――私が救ってみせると)
    《まもなく到着です》
     ラモンの声とともに、ヘリが降りてくる。エヴァは焦土と化した前庭に戻り、ヘリに乗り込んだ。



     ヘリはリモード共和国を離れ、南へと向かう。
    「どこへ向かっている?」
    「……考えてないです」
     ラモンは肩をすくめ、困った顔を向けた。
    「特区に戻ると確実に白猫党に追い回されるでしょうから、反対方向に向かってるだけなんです」
    「所属不明機でトラス王国や他の先進国に乗り込めば、問答無用で撃ち落とされるだろうからな。なおさら東方面には向かえない」
    「そもそもヘリを売りさばくルートなんて知らないですし、どこに持って行けばいいやらですよ」
    「さて、どうするか……」
     やがてウォールロック山脈が眼前に現れ、二人はぼんやりとその稜線を眺めていた。と――。
    「……何か鳴ってないか?」
    「え? ……あ、僕のスマホです」
     ラモンは操縦桿を握りながらポケットを探り、スマホを取り出す。
    「げ」
     画面に視線を落とした途端に顔をしかめたラモンを見て、エヴァはその相手が誰であるかを察した。

    PageTop▲

    ««

    Menu

    検索フォーム

    最新記事

    最新コメント

    カテゴリ

    プロフィール

    黄輪

    Author:黄輪
    猫と中華と可愛いものが好きなモノ書きです。ドット絵も描けますよ(*゚ー゚)ノシ

    ブロとも申請フォーム

    月別アーカイブ

    オンラインカウンター

    現在の閲覧者数:

    現在の閲覧者数:

    QRコード

    QRコード