黄輪雑貨本店 新館

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    DETECTIVE WESTERN 6 ~ オールド・サザン・ドリーム ~ 10

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第10話。
    煩悶アデル。

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    10.
    (こんな先輩、初めて見るぜ)
     半月前に出た初任給で早速買った懐中時計で時間を確かめつつ、ロバートはベッドの上で、一言も発さずとぐろを巻いているアデルを眺めていた。
    「先輩、ちょっと寝たらどうっスか? 夕飯まであと3時間ありますし」「……」
     何度か声をかけたが、アデルの耳には入っていないらしく、彼はじっと壁の方を見つめたままである。
    (いや、壁って言うか、多分その向こう――姉御たちが今ナニしてんのかなーって考えてるんだろうなー、これ)
     たまりかねたロバートは、アデルの肩をトントンと叩く。
    「先輩、そんなに気になるんなら、聞き耳立ててみたらどうっスか?」
    「あ?」
     振り返ったアデルの顔には、汗が噴き出していた。恐らく暑さのせいだけではなく、隣が気になって仕方無いのだろう。
    「このまんま後3時間、壁を見つめてるつもりっスか? んなことしてるより、潔くコップ使って様子伺った方が、よっぽどスッキリすると思いますけど」
    「……」
     一瞬、アデルがにらんだが、すぐに壁へと目線を戻し、もう一度ロバートに向き直った。
    「取ってくれ」
    「あ、はい」
     ロバートは素直に、水差しに被さっていたコップを一つ取り、アデルに手渡した。それを受け取るなり、アデルはベッドの上を膝立ちで進み、壁にコップを押し当てて張り付く。
     が――3秒もしないうち、壁からドン、と音が響くとともに、アデルは耳を抑えてベッドの上をのたうち回った。
    「ど、どしたんスか!?」
    「……っ……うぅ……あー……ちっくしょー……エミルの奴」
     まだ耳を抑えたまま、アデルは苦い顔をロバートに向けた。
    「向こうから壁叩いてきやがった。鼓膜が破れるかと思ったぜ、くそ」
    「お見通し、ってわけっスか。流石は姉御っスね」
     どうにか割れずに済んだコップを床から拾い、アデルは水差しからコップへと水を注ぎつつ、ぶつぶつとつぶやいている。
    「だがまあ、これでともかく、エミルとあいつが変なことしてるって可能性は無くなったわけだ。多分俺がコップを壁に押し当てた音を、エミルは聞きつけたんだろう。でなきゃあんなタイミング良く、ポイント良く壁叩いたりできないしな。音が聞けたってことは、何か騒々しいことをやってる最中じゃないってことだし。既に部屋に入ってから30分は経過してるし、それまで特に何かそれっぽいことをしてる様子が無いってことは多分、あと3時間、恐らくこのままだって言う可能性は高いと見て問題無いはず、……いやしかし、俺がこう考えることをエミルが考えないとは考えにくいし、となると俺が諦めて不貞寝するこのタイミングを見計らって、『ねえサムの坊や、もっとレジャーを楽しんでみない』なんて口説き始めるかも知れないし……」
     縁ギリギリまで注いだ水に口を付けようともせず、ぶつぶつ唱えたままのアデルに、ロバートは単刀直入に尋ねた。
    「先輩、姉御のことが好きなんスね?」
    「しかし可能性としては、……ぅひぇ?」
     素っ頓狂な声を上げたアデルを見て、ロバートは噴き出した。
    「俺のことをバカだ、単純だってけなすわりには、先輩も十分おバカでド単純じゃないっスか」
    「て、てめっ」
     顔を真っ赤にするアデルに、ロバートはニヤニヤと笑って返す。
    「案外純情なんスね、先輩」
    「……純情で悪いかよ」
    「全然。むしろ先輩らしいっス」
    「バカにしてんのか?」
    「いやいや、尊敬してるんスよ」
    「どこに尊敬できる要素があんだよ」
    「だって、探偵なんて結局、人の粗探しでメシ食ってるようなもんじゃないスか。そんなこと長く続けてたら、絶対どこかスレてきて、嫌な奴になってきますって。
     でも先輩、全然そーゆーとこ無いなって。そりゃまあ、時々きっついこと言ってくるっスけど、丁寧にモノを教えてくれるし、ちょくちょく飲みに連れてってくれるし、何だかんだ言って正直者だし。
     だから俺、先輩のことは人間として尊敬してるんス、マジで」
    「お前なぁ」
     アデルは水を一息に飲み干し、ロバートに背を向けつつ、こう続ける。
    「人を見る目が甘すぎるぜ。俺だってスレたとこの一つや二つあるっての。
     あんまりさ、人を妄想で脚色したり、期待しすぎたりすんなよ。それ裏切られたら、ただ自爆するだけだからな」
    「へへへ、覚えときます」
    「……ふん」
     アデルがごろんとベッドに寝転んだところで、ドアがノックされた。

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    DETECTIVE WESTERN 6 ~ オールド・サザン・ドリーム ~ 9

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第9話。
    部屋割り。

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    9.
     ワシントンを発ってから8日後、アデルたち一行は予定通りT州、フランコビルを訪れていた。
    「西部っつーか、南の端まで来ちまったなー」
    「そっスねー。って言うか鉄道自体が端っこ、終着駅っスもんねー」
     並んで立つアデルとロバートは、だらだらと汗を流している。サムも額をハンカチで拭きながら、気温の変化を分析している。
    「流石に緯度10度近くも南下すると、空気が全然違いますね。ワシントンと全然、日差しが違います」
    「い……ど?」
     きょとんとしたロバートを見て、サムが説明しようとする。
    「あ、緯度と言うのはですね、地球上における赤道からの距離を……」「やめとけ、サム」
     が、アデルがそれを止めた。
    「このアホにそんな小難しい説明はするだけ無駄だ。見ろ、このきょとぉんとした顔」
    「……要するに、暑いところに来たってことです」
     噛み砕いた説明をしたサムに、ロバートは憮然とした顔を返した。
    「子供だって知ってるっつの。メキシコの隣だし」
    「その暑い国がなんで暑いか知らねーからアホだって言われんだよ」
    「ちぇー」
     と、エミルが胸元をぱたぱたと扇ぎながら、3人に声をかける。
    「いつまで日差しの真下で駄弁ってるつもり? そのまま続けてたら3人とも、マジで頭悪くなるわよ」
    「ごもっとも。そんじゃ先に、宿を取りに行くか」
    「賛成っスー」

     一行は駅隣のサルーンに入り、マスターに声をかける。
    「ちょっと聞きたいんだが、ここって泊まれるか?」
    「ええ、一泊1ドル10セントです。ただ2階に2部屋しか無いんで、2人ずつになりますが」
     マスターの返答に、4人は顔を見合わせる。
    「まあ、そうよね。ニューヨークやフィラデルフィアならともかく、アメリカの端近くまで来てて、そんなに部屋数のある宿なんて普通無いわよ」
    「まあ、道理だな。だが今、そこを論じたってしょうがない。部屋数が増えるわけじゃないからな。
     今論じるべきは、どう分けるか、だ」
     アデルの言葉に、ロバートが全員の顔をぐるっと見渡す。
    「姉御と先輩、俺とサムって分け方じゃダメなんスか?」
    「え」
     ロバートの案に、サムが目を丸くする。
    「え、……って、普通に考えたらそうなるだろ?」
     けげんな顔をするロバートに、サムはしどろもどろに説明する。
    「あ、でも、エミルさんとアデルさんは、そう言う関係じゃ」
    「いや、それは俺も知ってるって。
     だけど例えばさ、ヒラの俺と姉御じゃ余計おかしいだろ。お前でもそれは同じだし」
    「それは……うーん……そう……ですよね」
     うなずきかけたサムに、アデルがこう提案する。
    「いや、それよか1対3、エミルに1部屋、残りを俺たち、って分けた方が紳士的だろ」
    「あ、……そーっスよね、そっちの方がいいっス、絶対」
     ロバートは素直に納得したが――何故かサムはこの案に対しても、面食らった様子を見せた。
    「えぇぇ!?」
    「おいおい、待てよサム。どこも変じゃ無いだろ、今の案は? 男部屋と女部屋に分けようって話だろうが」
     アデルにそう言われ、サムは目をきょろきょろさせ、もごもごとうなるが、どうやら反論の言葉が出ないらしい。
    「あっ、あの、でも、……その、……そう、ですよね」
    「……」
     しゅんとなり、黙り込んでしまったサムを、エミルはじーっと眺めている。
     その間にロバートが、マスターに声をかけようとした。
    「決まりっスね。んじゃ……」
     と、そこでエミルが口を開き、ロバートをさえぎる。
    「マスター。部屋割りはそっちの赤毛と茶髪で1つ。それからメガネの子とあたしで1つ。よろしくね」
    「……え?」
     エミルの言葉に、アデルたち3人は揃って唖然となる。
    「かしこまりました、ごゆっくりどうぞ。夕食は18時に、1階で出しますので」
    「分かったわ。それじゃ後でね、アデル。それからロバートも」
     その間にマスターが鍵を2つカウンターに置き、エミルは片方の鍵を受け取ると同時にサムの手を引いて、そのまま2階へ行ってしまった。
     残されたアデルは、ロバートと顔を見合わせる。
    「……ちょっと待て」
    「いや、俺に言ったって」
    「え、エミル、ま、まさか、あいつが、あんなのが、タイプなのか? アレがタイプだってことか?」
    「分かんないっスよぉ、俺に言われたって」
    「い、いや、違うよな? ほ、保護欲みたいな、子犬可愛がりたいみたいな、ソレ的なアレだよな? な? なっ? なあっ!?」
    「だから分かんないっスってー……」
     狼狽えるアデルをなだめつつ、ロバートはカウンターに置かれた鍵を受け取り、まだぶつぶつつぶやいている彼を引っ張るようにしつつ、2階へ向かった。

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    DETECTIVE WESTERN 6 ~ オールド・サザン・ドリーム ~ 8

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第8話。
    二手、三手先を読む。

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    8.
    「え……?」
     思ってもいなかったエミルの返答に、アデルは面食らう。
    「いや、変な話じゃないだろ? 時間差があるから……」「そこじゃ無いわよ、問題は」
     エミルは肩をすくめつつ、こう返した。
    「あんた、火が点いたダイナマイトが目の前に落ちてるのを見付けても、その場でじっと突っ立ってるの?」
    「どう言う意味だよ?」
    「危ないと思ったらすぐ逃げるだろ、って話よ。
     事件発覚が公になるかならないかのタイミングで、まんまとワシントンから逃げおおせた奴が相手よ? そんな相手が本拠地のド真ん中で、『捕まるかも』って危険を冒しておいて、追手の心配をしてないわけが無いじゃない。
     あたしたちがのこのこ本拠地に乗り込んだら、全力で逃げ出すに決まってるわ。相手にとってはるかに地の利がある町から、ね」
    「なるほど……。言われりゃ確かに、その危険は無視できないか。そこで逃げるか隠れるかされれば、見付け出すことは難しくなるだろうな。
     だが本拠地で追わなけりゃ、どこで追うんだ?」
    「これよ」
     エミルは地図を広げ、2つの町を指し示した。
    「ここが議員さんの本拠地である、サンクリスト。
     ここから70マイルほど南にもう一つ、フランコビルって言う町があるの。隣駅でもあり、その路線の終着駅でもある町よ。
     そしてさらに南へ進んでいけば国境、その先はメキシコってわけ」
    「高飛びするには手頃なルートだな。となると馬が必要か、……あー、なるほど」
    「そうですね。そちらを抑える方が、より確実だと思います」
     うなずいているアデルとサムに対し、ロバートはぽかんとしている。
    「どう言うことっスか? その、フランコビルって町で待ち構えるってことっスか?」
    「ああ、そうだ。この町から南の国境まではかなりの距離があるし、馬の手入れや食糧なんかの補給は入念にしなきゃならない。でなきゃ国境を越える前に、地獄の門をくぐる羽目になるからな。
     そしてこの町の近隣百数十マイルにはサンクリスト以外の、他の町は無い。言い換えれば、この町以外に補給ができるところは皆無ってことだ」
    「つまりここで待ち構えてれば……」
     ロバートの言葉に、アデルは大仰にうなずいた。
    「そう、議員先生の方からやって来るはずだ。
     後はきちっと拘束し、しれっとF資金について聞き出す。ミッション終了ってわけだ」

     行動指針がまとまった後は、特に何かを検討するようなことも無く、それぞれが到着までの時間を潰していた。
    「ようやく次の町が見えてきたなー」
    「そうね」
    「今日はどの辺りまで行けるかな」
    「さあ?」
    「お、湖だ。なんだっけ、エリー湖だったか?」
    「そうじゃない?」
     ずっと外の景色を眺めているエミルに、アデルは色々話しかけてみるが、生返事しか返って来ない。
     まともな会話をあきらめたアデルは、今度はサムに話しかける。
    「なあ、サム」
    「え、あっ、はい?」
     手帳に目を通していたサムが、ぎょっとした顔をする。
    「なんだよ、声かけただけだろ」
    「あ、すみません。えーと、何でしょう?」
    「お前さん、いくつって言ってたっけ?」
    「22です」
    「ロバートのいっこ下か。大学も出てるんだよな?」
    「あ、はい。去年、H大のロースクールを」
    「……は?」
     サムの学歴を聞いて、アデルは面食らう。
    「22歳って言ったよな?」
    「はい」
    「去年、ロースクール卒業? H大の?」
    「ええ」
    「すげえな、飛び級してんじゃねえか。
     お前さん、実はものすげえ奴なんだな」
    「いや、そんなことは、全然。人と話すの、苦手ですし」
    「謙遜すんなっつの。なんだよ、超エリートだなぁ。とてもチンピラ上がりの隣に座ってる奴とは思えん」
    「ちょっ……、ひどいっスね先輩」
     サムと比較され、ロバートが口をへの字に曲げた。
    「そーゆー先輩はどうなんスか? どうせやんごとなき大学を主席で卒業とかでしょ?」
    「局長じゃあるまいし。俺はふつーの、名前も聞いたこと無いような大学の出身だよ」
     そう返したアデルに、サムが食いつく。
    「パディントン局長の母校って、どちらなんですか? あの方、イギリス訛りがありますし、やっぱりそちらの……?」
    「らしいぜ。若い頃はイギリス人だったって聞いてるしな」
    「……納得っスねぇ」
     アデルの話にロバートもサムも、うんうんとうなずいていた。

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    DETECTIVE WESTERN 6 ~ オールド・サザン・ドリーム ~ 7

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第7話。
    議員先生の足取り予測。

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    7.
     司法省ビルでの情報収集を終えたアデルたちは、その日のうちに、T州行きの列車に乗り込んでいた。
    「サム、到着は何日後だ?」
     列車がワシントン郊外に差し掛かった辺りで、アデルがサムに尋ねる。
    「えーと……、8日後の予定です」
     手帳に視線を落としながらサムがそう返したところで、横に座っていたロバートが愕然とした表情を浮かべる。
    「8日後ぉ!? 議員先生が逃げ出してからもう3日、4日経ってるってのに、さらにそんなにかかんのかよ!?」
    「し、仕方ないですよ、ロバートさん。
     で、でもですね、相手だって目的地へ向かうのに同じだけの日数を要しますし、それに加えて、資産を現金化する時間も必要になります。
     それを考えれば、僕たちには若干の余裕があるはずです」
    「現金化? つまり、カネを集めるってことか?」
     サムの説明に、ロバートは首を傾げる。
    「カネ持ちだって話なんだろ、議員先生は? なんでカネを集める必要があるんだ?」
     これを聞いて、アデルが呆れた声を出した。
    「ロバート、お前さんまさか、『カネ持ち』がそのまんま、ドル紙幣をわんさか持ってる奴だって思ってんじゃないだろうな」
    「え? そうでしょ?」
    「アホか。本物のカネ持ちはカネじゃなく、カネを株式やら土地やらの動産・不動産と言った資産にして持ってんだよ。資産にして置いときゃ地代やら配当やらで、さらにカネが入るからな。
     だが今回みたいに、いざ逃げなきゃならんって時にそんなもん持ってても、全然役には立たない。だからカネに戻すってわけだ」
    「あー、なーるほど」
    「は、話を戻しますと」
     サムが恐る恐ると言った口ぶりで、説明を続ける。
    「当然ながら、スティルマン議員がワシントンなど合衆国東部地域で有していた資産に関しては、既に凍結されています。
     ですが彼の本拠地であるT州サンクリストには、まだ相当額の資産が蓄えられていますし、地元で顔が利く分、こちらの現金化は容易なはずです。
     とは言えその総額は、資料によれば10万ドルは下らないとのことですし、完全に現金化するまでには相当の日数を要するでしょう」
    「じゅっ……」
     額を聞いて、ロバートはまた目を丸くした。
    「なんだよ、すげえカネ持ちじゃねえか!? なのになんで、裏金なんかもらおうとしてたんだよ……?」
    「答えは簡単。カネの亡者だからよ」
     窓の外を眺めていたエミルが、話の輪に入る。
    「この世には2種類の人間がいるのよ。生活に困らない程度のおカネが手に入ったらいいやって言うタイプと、おカネはいくらでもほしいってタイプ。
     あたしは前者だけど、隣のアホとか議員さんは後者みたいね」
    「アホって言うなよ……、ったく」
     口をとがらせるアデルをよそに、エミルはサムの説明を継ぐ。
    「ともかく、そう言うタイプだろうから、捜査の手が伸びるギリギリまで現金化を進めるでしょうね。
     サム、その現金化だけど、最短で何日くらいかかるか、算出できる?」
    「えーと……、そうですね、大部分が土地と債券、株式とのことですから、近隣に売却するとして、……とは言え銀行なんかを介した表向きの取引は、買い手側が後々まずいことになるでしょうから断るでしょうし、帳簿や証文の無い裏取引として……でも現金がそこまで町全体にあるか……うーん……」
     サムはぶつぶつとつぶやきながら、大まかな所要時間を返した。
    「恐らくですけど、半分の5万ドルなら一週間くらいでできると思います。ただ、残り半分も現金化しようとしたら、周りの町からかき集める必要が出るでしょうし、一ヶ月以上かかるでしょうね」
    「流石に一ヶ月もじっとしてなんかしやしないわね。じゃあ恐らく、一週間で町を立つでしょうね。
     合計すれば――ワシントンからサンクリストまで8日、半分を現金化するのに7日だから――最低でも半月はかかるってことになるわね」
     これを聞いて、アデルが話をまとめようとした。
    「となると、既に事件発覚から一週間が経過している今、明日か明後日くらいで議員先生は本拠地に到着し、現金化を始めるだろう。
     だが半分カネにするのに一週間。その間に俺たちがサンクリストに到着し、奴さんをとっ捕まえるってわけだな」
     が――エミルはこれを聞いた途端、鼻で笑った。
    「そんなの上手く行くわけないじゃない」

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    DETECTIVE WESTERN 6 ~ オールド・サザン・ドリーム ~ 6

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第6話。
    二つの事件と二人の政治家。

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    6.
     サムを懐柔したところで、アデルたちは改めて、その「お宝」の情報集めに取り掛かった。
    「で、アデル。情報屋から聞いたお宝の話って、具体的には?」
    「ああ。グレースから聞いたのは、こんな感じだ。
     T州のとある大物政治家が1860年、即ち南北戦争の直前になって、資金を大量にかき集めたんだ。どうやら戦争が起こることを見越して、その時自分が付くであろう陣営、即ち南軍に合流させるべく、私兵団を築くつもりだったらしい。
     しかし翌61年、その企みは失敗に終わる。何故なら首謀者だったその政治家が突然、ぽっくり逝っちまったんだそうだ。
     だもんでそいつが集めさせた資金に関しても、完全に流れが見失われた。資金がどこに回ってどう使われたのか、誰も知らないし、何も分からないままになってるって話だ」
    「つまり、そいつがお宝ってワケっスね」
     ロバートの言葉に、アデルはうんうんとうなずいた。
    「そうだ。巷じゃこいつは『F資金』と呼ばれてる。その大物政治家の頭文字が由来だそうだ。
     ってわけで、まず俺たちが探すのは、Fってイニシャルで、T州を拠点にしていた、61年まで上院議員として活動していた奴だ。
     サムが言ってた通り、この資料室には政治家、それも大物の情報がずらりとファイリングされている。その中でクサい奴がいれば、60年から61年にかけて何やってたか、徹底的に調べるんだ」
    「……えっと」
     と、サムがけげんな顔をする。
    「それ、……さっきスティルマン議員と関係があったって言う、フィッシャー議員のことでは?」
    「あ?」
     サムの意見に、アデルは肩をすくめて返す。
    「おいおい、混同しちゃいけねーよ、サムのお坊ちゃん。アレとコレとは別の話だぜ」
    「で、でも」
     サムが反論しかけたところで、ロバートも賛成票を投じてきた。
    「いや、俺も先輩の話聞いてて、なーんか『っぽい』なーって思ってたっス」
    「……うーん」
     サムとロバートの意見に押され、アデルも渋々うなずく。
    「まあ、じゃあ、まずはフィッシャー議員のとこから洗うか」

     そしてFの棚に収められていた、フィッシャー議員についての資料を確認したところで、アデルも確信せざるを得なくなった。
    「ヘクター・M・フィッシャー。178X年、旧メキシコ領(現合衆国T州)出身。
     同州の合衆国併合の際には両国の間を渡り、併合に一部貢献した実績を持つ。その他にも同州および近隣州の経済発展に尽力し、最盛期は『フィッシャー・トラスト』とまで呼ばれる、巨大な政治資金団体を形成していた、……か。
     なるほど、『F資金』はそれが基ってわけか。もしこの『F』が本当にフィッシャーのFだとするなら、だが」
    「本当だとして、っスよ」
     ロバートが恐る恐ると言った口ぶりで、アデルに尋ねる。
    「このフィッシャー議員の跡を継いだのが、さっきのスティルマン議員っスよね?」
    「ああ」
    「ってことはっスよ、議員先生、『フィッシャー・トラスト』も継いだってことっスか?」
    「……ふむ」
     アデルはもう一度、スティルマン議員についての資料を開き、目を通す。
    「可能性はありそうだな。
     経歴からして尋常じゃない。3X年に生まれて61年に政治家に転身、そして70年代末にはもう、上院議員の座に登り詰めてる。
     ちょっとやそっとカネがあっても、敗戦直後の混迷極めるT州で、30代、40代の若手政治家が上院議員に選出されるなんて、なかなかできることじゃ無い。
     ってことは、ちょっとどころじゃなくカネを持ってたってことだろうな」
    「今回追っかけてるのだって、カネが原因でしょ? ますます怪しいっスよ」
    「確かにな。となりゃ……」
     アデルは持っていたメモにぐりぐりと円を描き、話を締めた。
    「どっちの件を追うにせよ、このスティルマン議員が鍵ってわけだな」

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    DETECTIVE WESTERN 6 ~ オールド・サザン・ドリーム ~ 5

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第5話。
    仕事と遊びと、宝探しと。

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    5.
     うずくまったままのサムを放っておき、アデルたちは引き続き、資料を確認する。
    「んで、そのフィッシャー議員から政治基盤を受け継ぎ、上院議員にまで出世ってわけか。
     そして今年、汚職が発覚、と」
    「汚職って、そう言やこのおっさん、何やったんスか?」
    尋ねたロバートに、エミルが説明する。
    「簡単に言えば贈賄と背任、横領よ。
     N準州で予定されてる鉄道事業について入札が行われてたんだけど、その裏でスティルマン議員はある鉄道会社から、8000ドルの賄賂をもらったのよ。その見返りに、その会社に最低入札価格を教えるってことでね。
     その上、準州が用意してた鉄道予算の一部も着服しようとしてたって話よ」
    「へぇー」
     感心した声を上げたロバートに、エミルは呆れた目を向ける。
    「あなた、新聞読んでないのね?」
    「え、……いやー、ははは、文字見るのが嫌いなんスよ、俺」
    「この半月で一番ホットな話題よ? 少しくらい、目を通しておいた方がいいわよ」
     エミルに続き、アデルもたしなめる。
    「そうだぜ、ロバート。学が無いオトコはモテねーぞぉ」
    「ん、んなこと無いっスよ! オトコは腕っ節っス!」
     反論するロバートに、アデルは肩をすくめて返す。
    「局長を見てみろよ、たまにご婦人の依頼人が来るが、最初はどんなに憂鬱そうにしていても、局長と話すと途端に顔をほころばせる。
     あの人はユーモアと機知にあふれてるし、何よりどんな話題にも柔軟かつ広範に応じられるからな、どんな相手でも心を開いちまう」
    「流石っスねー」
     ロバートが感心する一方で、エミルはクスクスと笑っている。
    「なんだよ?」
    「だからあなた、おしゃべりなのね。局長みたいになりたくて」
    「……」
     エミルの指摘に、アデルも顔を赤くした。

     と、先に赤面していたサムがようやく立ち直ったらしく、机に戻って来た。
    「え、えーと、それでその、資料はお役に立ったでしょうか?」
    「ん? あ、ああ」
     アデルはぷるぷると首を振り、サムに応じる。
    「そうだな、奴さんが隠れそうなところ、行きそうなところの目星は大方付いた。
     こっちの方は終わりだな」
    「こっち?」
     きょとんとした顔で尋ねたサムに、アデルはニヤニヤ笑いながら、そーっと近付いた。
    「あ、あの?」
     目を白黒させているサムの耳に、アデルはこうささやく。
    「ここからは秘密のお話だ。ここにいる俺たち以外には、他言無用だぜ?」
    「え? え?」
    「いいか、俺はある情報筋から、この資料室にはお宝のありかを示す手がかりがあると言う情報をつかんでいる。実を言えば、議員先生の情報集めなんてのは単なる口実だ」
    「な、何を?」
    「と言うわけで、今からそっちの情報集めを始める。お前さんも手伝え」
    「ま、待って下さい」
     サムはふたたび顔を真っ赤にして、慌ててアデルとの距離を取る。
    「じゃ、じゃあアデルさん、最初からそのつもりで、ここに? スティルマン議員の捜索も、そのために?」
    「いやいや、議員先生の件の方が勿論、重要だ。局長から直々に受けた命令をないがしろにするなんて邪(よこしま)なことは、これっぽっちも考えちゃいないさ。
     だが、例えばサム、お前さんが仕事で西部の方へ行って、仕事を終えて直帰するって時に、駅近くのバーで一杯やろうかと思ったとして、それを咎める奴はいないだろ?
     それと同じさ。本来やるべき仕事をきちっとこなしてりゃ、誰も文句は言わないさ」
    「それは……うーん……でも……」
     困った顔をしているサムに、エミルが声をかける。
    「ま、今回だけは大目に見てあげなさいな。このバカ、言い出したらなかなか聞かないもの」
    「ちぇ、バカはひでーなぁ」
     アデルが口をとがらせるが、エミルは彼に構わず、サムと話を続ける。
    「あなたが清廉潔白なタイプだってことは、見てれば分かるわ。だからこいつのグレーな提案も、そう簡単には受け付けられないってことも十分理解できる。正直あたしだって、バカなこと考えてるわねって思ってるしね。
     だからこれはお宝探し(Treasure)なんて欲張った話じゃなくて、単なるお遊び、レジャー(To leisure)と思えばいいのよ。
     捜査局にだって、週末に備えてデスクで新聞の娯楽欄をニヤニヤしながら眺めてる人、いるでしょ? ここで資料探しするのも、その延長みたいなもんよ。折角遊びに行くんなら観光地の下調べくらい、事前にしときたいじゃない」
    「は、はあ……」
     まだ納得しかねている様子のサムに、エミルはこう付け加えた。
    「それにあなた、仕事から離れてプライベートの時間になったら、どう過ごせばいいか分かんなくなるタイプでしょ? せいぜい家で新聞読むか気になった事件をスクラップするか、頑張って図書館に行って勉強するか、って感じ」
    「そ、それは、まあ、……否定しませんと言うか、できませんと言うか」
    「だから、たまにはあたしたちと一緒に遊びましょ、って話よ。
     ね、それならいいでしょ?」
     エミルの説得に、サムはようやく折れた。
    「……分かりました。それなら、ええ、はい」

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    DETECTIVE WESTERN 6 ~ オールド・サザン・ドリーム ~ 4

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第4話。
    米連邦司法省ビルにて。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    4.
    「あ、そ、その、ビアンキさん、よ、よろしく……、お願いします」
     前回共に仕事をしてから4ヶ月ほど経っていたが、やはりサムは以前と変わらず、シャイな様子を見せていた。
    「ロバートでいいぜ。こいつもお前さんと同じヒヨッコだ。仲良くしてやってくれ」
    「何スかそれ、子供扱いして……」
     口をとがらせつつも、ロバートは素直に、サムに右手を差し出す。
    「まあ、よろしくっス」
    「あ、はい」
     サムも恐る恐ると言った様子で右手を伸ばし、握手を交わした。
    「よし、挨拶も済んだところで、だ。
     早速で悪いが、ちょっとばかしお前さんの職場にお邪魔させてもらうぜ」
     そう切り出したアデルに、サムはこくっと短くうなずいた。
    「ええ、伺っています。セオドア・スティルマン議員の消息をたどるため、資料室で彼の身辺情報を……、と言うことでしたね」
    「そうだ。今から一々、巷で情報集めしてたんじゃ、下手すりゃ議員さん、海の向こうに行っちまうか、馴染みの深いだろうメキシコへ柵越えしちまう。
     それよりか、既にある程度の情報持ってるおたくらに知恵を借りた方が、拿捕できる可能性は高くなるからな」
    「ええ、特に国政に関わる人間であれば、一定の身辺調査を行うようにしていますからね。スティルマン議員についてもファイルされているはずです」

     サムを筆頭にして、エミルたち一行は連邦特務捜査局のオフィスがある、司法省ビルの中を進む。
    「てっきり中にいる奴、みんな俺たちに敵意むき出しにしてにらんでくるかと思ってたっスけど……」
     そうつぶやいたロバートに、エミルが苦笑しつつ返す。
    「あくまで捜査局は司法省の一セクションだもの。このビルに勤めてる大部分の人たちはそいつらと無関係だろうし、何とも思って無いわよ」
    「へへ、そっスよねぇ」
     と、アデルがトン、とロバートの肩を叩く。
    「だが、彼は別だろうな」
    「彼?」
     ロバートが聞き返したが、アデルは答えず、前方、廊下の奥から歩いてくる初老の男を、それとなく指し示した。
    「……」
     アデルが言った通り、その男はエミルたちを、胡散臭いものを見るような目で眺めながら近付いて来る。
    「あ、局長。おはようございます」
     サムが立ち止まり、彼に会釈する。
    「……ああ、おはよう、クインシー捜査官」
     一方、相手は立ち止まらず、サムに手を挙げて返し、そのまま通り過ぎる。
     こう言う状況であれば大抵はアデルが突っかかるのだが、この時ばかりは流石の彼も、会釈するだけに留めていた。
    「局長って?」
     ぼそっと尋ねたロバートの頭を、アデルがぺちっと叩く。
    「サムが局長って呼ぶような奴っつったら、連邦特務捜査局の局長だろうが。
     ウィリアム・J・ミラー、司法省でも重鎮の男だ」
    「まあ、はい、そう言うことです。……ちゃんと挨拶してほしかったんですが、ロバートさん」
    「す、すんませんっス」
     ロバートが慌てて振り返るが、ミラー局長の姿は既に、廊下に無かった。

     ともかくアデルたちは資料室へ向かい、所期の目的を果たすことにした。
    「えーと、S……Sの項の……T……I……あ、あった」
     サムが言っていた通り、確かにスティルマン議員についての資料は、すぐに見つけることができた。
    「セオドア・S・スティルマン。183X年、T州出身。
     1855年に父親の事業であったS&S農園を継ぎ、57年に南部の有力政治家だったヘクター・フィッシャー元上院議員と関係を持つ。……関係?」
    「え、関係ってまさかこいつ……」「じゃないです!」
     声を上げかけたロバートを、サムが珍しく大声を出して遮った。
    「4年後の1861年、スティルマン議員はフィッシャー議員から政治基盤を受け継いでいます! 関係を持ったって言うのは、政治活動の関係のことですから! へ、変なこと言わないで下さいよ、ロバートさん!」
     一方、ロバートはニヤニヤと笑みを浮かべてこう返す。
    「……あのー、まだ俺『まさかこいつ』しか言ってないっスよ。一体ナニと思ったんスか?」
    「え、……あっ、あっ、そのっ、いやっ」
     サムは顔を真っ赤にし、その場にうずくまってしまった。

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    DETECTIVE WESTERN 6 ~ オールド・サザン・ドリーム ~ 3

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第3話。
    欲と義と。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    3.
    「今回君に任せる件の詳細は、以下の通り。
     先のN準州開発に絡む汚職事件についての追求を逃れ蒸発した代議士、セオドア・スティルマンの捜索、及び拘束だ。
     無論、罪に問われているとは言え、まだ犯罪者と確定したわけでもない男を、我々が勝手に拘束するわけにはいかん。そこで逮捕権を持つ連邦特務捜査局の人間に同行し、名目上は彼に拘束させるようにしてほしい。
    (と言うよりもこの件、捜査局からの依頼なんだ。また人員不足だとか予算が十分じゃあ無いだとか、何だかんだと文句をこぼしていたよ)
     そう、今回もまたあのお坊ちゃん、サミュエル・クインシー捜査官と一緒に仕事してもらう。言うまでもないが、勿論エミルにも同行してもらうこと。
     あと、あの、……イタリア君にも初仕事をさせてやろう。一緒に連れて行くように。

    P.S.
     イタリア君の名前をど忘れした。何となくは覚えているんだが。彼、名前なんだったっけか?」



    「このメモ、局長から?」
     尋ねたエミルに、アデルはこくりとうなずく。
    「ああ。彼は今、別の事件を追っているらしい。だもんで、こうして書面での指示をもらってるってワケだ」
    「……ああ、だから?」
     そう返し、エミルは呆れた目を向ける。
    「局長の目が届かないうちにお宝探しして、ちゃっかり独り占めしようってわけね」
    「いやいや、二人占めさ。俺とお前で」
    「それでも強欲ね。サムとロバートも絡むことになるのに、二人には何も無し?」
    「あいつらには何かしら、俺からボーナスを出すさ。お宝が本当にあったならな」
    「あ、そ。慈悲深いこと」
     エミルにそう返されつつ冷たい目でじろっと眺められ、アデルは顔を背け、やがてぼそっとこうつぶやいた。
    「……分かったよ。4等分だ」
    「5等分にしなさいよ、そう言うのは。
     仕事にかこつけて宝探しするんだから、機会を与えてくれた局長にもきっちり分けるべきじゃないの?」
     エミルの言葉に、アデルは顔をしかめる。
    「エミル、お前ってそんなに博愛主義だったか? いいじゃねーか、局長に内緒でも」
    「一人でカネだの利権だのを独り占めしようなんて意地汚い奴は、結局ひどい目に遭うのよ。
     そりゃあたしだって儲け話は嫌いじゃないけど、出さなくていいバカみたいな欲を出して、ひどい目に遭いたくないもの」
     そう言ってエミルは新聞紙を広げ、アデルに紙面を見せつける。
    「『スティルマン議員 新たに脱税疑惑も浮上』ですってよ?
     独り占めしようとするようなろくでなしは結局悪事がバレて、こうやって追い回されて大損するのよ。
     あんた、こいつに悪事の指南を受けるつもりで捜索するの?」
    「……」
     アデルは憮然としていたが、やがてがっくりと肩を落とし、うなずいた。
    「……ごもっとも過ぎて反論できねーな、くそっ」
    「ま、そんなわけだから」
     そう言って、エミルはアデルの前方、衝立の向こうに声をかけた。
    「もしお宝の分け前があれば、あんたにもちゃんとあげるわよ」
    「どーもっス」
     衝立の陰から「イタリア君」――パディントン探偵局の新人、ロバート・ビアンキが苦笑いしつつ、ひょいと顔を出した。



    「あ、お前? もしかしてずっとそこにいたのか?」
     目を丸くしたアデルに、ロバートは口をとがらせてこう返す。
    「先輩、ひどいじゃないっスか。俺にタダ働きさせようなんて」
    「反省してるって。ちゃんと渡すさ」
    「へいへーい。ま、今回はそれで許してあげるっスよ、へへ」
     ばつが悪そうに答えたアデルに、ロバートはニヤニヤ笑いながら、肩をすくめて返した。

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    DETECTIVE WESTERN 6 ~ オールド・サザン・ドリーム ~ 2

    DETECTIVE WESTERN

    ウエスタン小説、第2話。
    おたから。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    2.
    「『猛火牛』、だろ?」
     アデルがニヤニヤしながら放ったその言葉に、エミルはけげんな表情を浮かべた。
    「なにそれ?」
    「あれ? 間違えたかな……」
     エミルの反応を受けて、アデルは途端に自信を失う。
    「それがトリスタン・アルジャンの通り名だっつって、情報屋のグレースからそう聞いたんだけどなぁ」
    「ふーん、そうなの?」
     前回、イクトミからその名を聞かされた時のそれとあまりに違う、そっけないエミルの反応に、アデルはまた面食らった。
    「そうなのって、……俺はてっきり、もうちょっと何か、過敏な反応してくるんじゃないかなーって思ったりなんかしてたわけなんだけど」
    「死んだはずの奴が生きてるって知らされたらそりゃ、びっくりするわよ。でも生きてるって分かった今、何聞いたって驚きもしないわね。
     で? 動揺したあたしに畳み掛けて、前歴を聞き出してやろうとでも思ったのかしら、探偵さん?」
    「あ、いや、そう言うわけじゃなくてだな、何て言うか」
     取り繕おうとするアデルに対し、エミルは冷ややかに言い放つ。
    「ごまかしは結構。そして答えはノーよ。
     今は何を聞かれたって、『前々職』については一切答えたくないの」
     エミルの頑なな態度に、アデルはようやく諦める。
    「まあ、じゃあそっちの話はもういいや。また今度にする。
     いや、なんでこんな話切り出して来たかって言うとだな、そのグレースって奴、情報屋なだけあってさ、色々と話を持って来てくれるんだよ。
     近所の美味しいコーヒー屋だとか、来週どこの店でバーゲンするかだとか、そう言う細かいことから、次期大統領選の両党それぞれの有力候補だとか、旧大陸のどこかの王様が死にそうだとか、ピンからキリまで揃えてるんだ」
    「それが?」
    「ま、流石に全部が全部本物、信憑性があるってわけじゃないが、半分くらいは信用できる情報だってことだ。
     んで、その中で一つ、耳寄りな情報をもらったんだ」
     長ったらしい前置きを終え、アデルはメモをエミルに差し出した。
    「何?」
    「南北戦争の開戦前に、T州とその周辺を地盤にしてたある政治家が、その戦争が始まるかもってことで、貯めてた政治資金やら資産やらを、どこかに隠したんだ。なんでも今の価値に換算して、総額50万ドルだとか、100万ドルだとか。
     ま、これだけならよくあるおとぎ話、アホみたいなトレジャーハンターがホイホイ飛びつきそうな、胡散臭い都市伝説でしかない。
     ところがそれを裏付ける資料が、『とある場所』に保管されてるらしいんだ。もしかすればその資料には、隠し場所なんかのヒントがあるかも知れない」
    「とある場所?」
     おうむ返しに尋ねたエミルに、アデルは辺りをきょろ、と伺ってから、小声でエミルの耳にささやいた。
    「コロンビア特別区、司法省の……」「は?」
     エミルはくるりとアデルに向き直り、それを遮る。
    「つまり連邦特務捜査局の資料室にある、ってこと?」
    「そう言うことだ」
    「あんた、そこに入れると思ってるの?」
     エミルはアデルから受け取ったメモを、アデルの額にぺちんと叩きつけた。
    「ただでさえ向こうはあたしたちを商売敵、面倒臭い輩だと思ってるのに、自分たちの本拠地のど真ん中にまで平然と入れてくれるって?
     そんなの、透明人間にでもならない限り不可能よ。間違い無く門前払いされるでしょうし、最悪、政府施設への不法侵入罪をでっち上げられて、パディントン探偵局ごと潰されるわよ」
    「分かってるって。俺だっていきなり、『よう、おつかれさん』なんてフレンドリーに真正面から入ろうとは思っちゃいないさ」
     メモを額からはがしつつ、アデルは肩をすくめる。
    「そこで今回、俺が任された件が絡んでくるわけだ」

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    DETECTIVE WESTERN 6 ~ オールド・サザン・ドリーム ~ 1

    DETECTIVE WESTERN

    5ヶ月ぶりにウエスタン小説。
    Civil war "eve"。

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    1.
     アメリカ合衆国最大の内戦、南北戦争。
     勃発の直接の原因は、それまで合衆国の富裕層における「常識」であった奴隷制に対する意見の相違に起因するのだが、そもそも何故、戦わねばならぬほどに意見を違えることとなったのか? それは北部地域と南部地域の産業構造が分化し、それぞれの地域に住む人民の意識が変化していたことが、最も大きな原因とされている。
     プランテーションに代表される大規模農業を続けるべく、依然として「安価な」労働力を要する南部。工業化の進行により、安価でなくとも「質の高い」労働力を欲する北部。需要の質が異なる以上、意見が食い違うのは必然である。
     やがて妥協できないほどに両陣営は対立を深め、その結果、南部はアメリカ連合国として合衆国から分離。そして西暦1861年、戦争が勃発した。

     無論、一国が分裂することなど、愛国心の強い者たち、諸外国からの干渉に対し警戒を怠らぬ者たちにとっては、何としてでも避けるべき事態に他ならない。
     意見対立が激化する以前から、政治家や大実業家、その他国内における権力者たちの多くは様々な議論、様々な法整備、様々な運動を繰り返し、その結果に至らぬよう尽力を重ねていた。
     それは元々から政治的、社会的な力が強かった北部の人間だけに留まらない。南部の人間においても――元々抱いていた主義・主張の下で――東奔西走ならぬ、南奔北走を続けていた者は少なからず存在していたのである。



     1860年12月、T州。
    「あの共和党の猿(Ape)めがッ!」
     新聞の政治欄から顔を上げるなり、彼は苛立たしげに怒鳴り、新聞を引きちぎった。
    「何が『こんな提案に同意するくらいなら私は死を選ぶだろう』だ、キレイゴトばかり吐きおって!」
    「せ、先生」
     彼の背後には、顔を蒼くして立ちすくむ、いかにも神経の細そうな若い男が立っていた。
    「このままでは、我が社の経営が……」「お前だけの問題じゃない!」
     いかにも偉そうなスーツを着たその中年の男は、若者に向かって怒鳴り散らした。
    「わしの後援はいずれも奴隷無しじゃ立ちいかんのだ! このままあいつらの主張が一方的に通されてみろ、わしの政治生命も、お前らの会社もみんな終わりだ!
     かくなる上は、お前たちにも覚悟をしてもらわねばならん」
    「か、覚悟、でございますか?」
     驚く若者に、彼は続けてこう言い渡した。
    「そうだ。それもあの猿のように、ただおべっかを立て並べ、口先だけの決意表明なんぞをしてもらうのでは無い。
     わしは形として、目に見えるものとして、覚悟を見せてほしいのだ」
    「とっ、……と、申しますと」
    「これはまだ私見だが、こうまで南部連中の意見が棒に振られている以上、南部は早晩、北部と袂を分かつことになるだろう」
    「た、袂を? それはつまり、……まさか」
    「おかしな話では無い。元々イングランド人やらスコットランド人、スペイン人、オランダ人、フランス人やらがごちゃごちゃと集まってできた寄せ集めの国だ。それがまたバラバラになるだけのことだ。
     とは言え、いずれはまた一つになるであろうことも、目に見えておる。でなければイングランドやらロシアやらの帝国共がいざ攻め込んできた時、どうしようもなくなるからな。
     問題はその後だ――我が国がもう一度一つになったその時、我が国はどんな意見を持っているか、だ」
    「つまり……?」
    「北部の意見だけが残っているか。それとも南部が意見を通し切っているか。わしは後者であることを求める。
     だからこそ、まずはカネだ。何を置いても潤沢な資金が無ければ、何も成し得ぬ。だからこそカネをありったけ、わしのところに集めるのだ。
     そして残る二つは」
     男は窓に向かい、若者に背を向けつつ、こう続けた。
    「兵士と武器だ。猿や彼奴ら率いる共和党がどうしてもキレイゴトで議会を埋めたい、アメリカを満たしたいと言うのならば、わしは現物と実力を以って、現実を見せてくれる。
     とにかく早急に、大規模にかき集めろ。そしてその力を駆使し、北部の連中をアメリカ大陸から駆逐してやるのだ!」

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    クルマのドット絵 その70

    クルマのドット絵

    前回に引き続き、待受素材の未公開分。



    DAIHATSU MOVE(LA150S)

    HONDA N-BOX(JF1)

    HONDA S660(JW5)

    ・ホンダ バモス(1999)
    ・三菱 eKワゴン(2013)
    ・三菱 アイミーブ(2013)



    これで未発表分、すべて出し切りました。
    また溜まってきたら掲載する予定です。

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    双月千年世界シリーズ 第一次大修正;10月30日までの進捗状況

    更新報告

    シュウ
    「今回も『大修正』の進捗状況を説明しますー」
    パラ
    「報告および解説はわたくしが」
    シュウ
    「そして説明はわたしが行いますー」
    シュウパラ
    「よろしくお願いします」

    シュウ
    「さて、前回(10月23日)時点での進捗率は79.12%でした」
    パラ
    「8割突破も目前と迫っておりますが、本年も残り2ヶ月となっており、依然として年内終了は厳しい状況にあります」
    シュウ
    「そろそろスパートかけてかないと……」



    シュウ
    「まずは進捗率をお願いしますー」
    パラ
    「かしこまりました。
    30日時点での進捗率は、81.48%です」
    シュウ
    「8割突破っ。残り19%……」



    シュウ
    「続いて修正箇所」
    パラ
    「以下の点を修正しております。
    蒼天剣・帰郷録 1~3,5 : 全体の文章を修正しました。
    蒼天剣・蒼天録 1,2,8 : 「魔方陣」となっていた箇所を「魔法陣」と修正しました。
    蒼天剣・帰郷録 4 : 行頭禁則に抵触していた部分を修正しました。

    また今回、以下のサブタイトルを変更しております。
    蒼天剣・蒼天録 9 : 「克大火の弟子。」→「How done it?」
    シュウ
    「コレについて、黄輪さんからなんか言いたいコトがあるらしいです。
    『克難訓が何かするようなところでは、ミステリーの議論などでよく使われる
    『Who done it?』とか『How done it?』の言葉で統一したいと考えているので、今回の変更を行いました』ですって」
    パラ
    「例えば『火紅狐・金火記 2』のサブタイトルは『Who done it?』、
    『白猫夢・上弦抄 6』は『Why done it?』となっております」
    シュウ
    「今後も難訓さんがアレコレする回があれば、こーゆーサブタイトルになるってコトですね」

    シュウ
    「明日の掲載はクルマのドット絵の予定です」
    パラ
    「そして11月1日より、『DETECTIVE WESTERN』の最新作が連載開始となります」
    シュウ
    「次回の更新報告は、その後ですねー」

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    2016年11月携帯待受

    携帯待受

    MITSUBISHI i-MiEV(HA4W)

    MITSUBISHI i-MiEV(HA4W)

    MITSUBISHI i-MiEV(HA4W)  MITSUBISHI i-MiEV(HA4W)

    2016年11月の壁紙。
    三菱の軽自動車、……だった、i-MiEV。

    このクルマの前身だった「i(アイ)」は軽自動車だったんですが、現行の市販車ではなく。
    現在は電気自動車化された「i-MiEV(アイミーブ)」が販売されています。



    最近、ここ数年で最もきついスランプ発生中。
    小説もドット絵も奮っていません。ブログ進行がかなりまずい状況です。
    当然と言うか、来年度の待受の題材についても、まったくアイデアが湧いていません。
    困ったなぁ。……11月が終わるくらいまでにはスランプを脱したいです。



    次回投票は11月下旬、16~21日あたりを予定しています。
    当ブログのトップページか、もしくはこちらから、私、黄輪のTLに飛ぶことができます。
    よろしければご参加下さい。



    Calender picture application by Henry Le Chatelier

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    双月千年世界シリーズ 第一次大修正;10月23日までの進捗状況

    更新報告

    シュウ
    「今回も『大修正』の進捗状況を説明しますー」
    パラ
    「報告および解説はわたくしが」
    シュウ
    「そして説明はわたしが行いますー」
    シュウパラ
    「よろしくお願いします」

    シュウ
    「さて、前回(10月16日)時点での進捗率は77.44%でした」
    パラ
    「10月も半ばを過ぎ、依然として年内終了が危ぶまれる状況にあります」
    シュウ
    「もっとがんばれ黄輪さんっ」



    シュウ
    「まずは進捗率をお願いしますー」
    パラ
    「かしこまりました。
    23日時点での進捗率は、79.12%です」
    シュウ
    「今回は進捗がちょっと悪かったですねぇ」



    シュウ
    「続いて修正箇所」
    パラ
    「以下の点を修正しております。
    蒼天剣・黒隠録 1~5 : 全体の文章を修正しました。
    蒼天剣・騒北録 2,4,5 : 全体の文章を修正しました。

    また今回、サブタイトルの変更はございません」
    シュウ
    「次回は結構なヤマがあるので、ソコ越えたら進捗がグンと伸びるかもですねー」

    シュウ
    「明日の掲載は携帯待受の予定です」
    パラ
    「そして次回更新は10月30日です」
    シュウ
    「今回は追記にて、今後の詳しいお話がありますー」

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    クルマのドット絵 その69

    クルマのドット絵

    前回に引き続き、待受素材の未公開分。



    DAIHATSU MOVE(LA150S)

    HONDA N-BOX(JF1)

    HONDA S660(JW5)

    ・ダイハツ ムーブ(2014)
    ・ホンダ N-BOX(2011)
    ・ホンダ S660(2015)




    どう言うわけか、これまで描いたドット絵はホンダが多め。
    日本、海外を含め色々描いてきましたが、そのうち15%くらいがホンダ。次いで多いのがトヨタ。
    やはり自国のものが親しみやすいと言うことと、中でもその二社を魅力的に感じている、と言うことなんでしょうかね?

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    双月千年世界シリーズ 第一次大修正;10月16日までの進捗状況

    更新報告

    シュウ
    「今回も『大修正』の進捗状況を説明しますー」
    パラ
    「報告および解説はわたくしが」
    シュウ
    「そして説明はわたしが行いますー」
    シュウパラ
    「よろしくお願いします」

    シュウ
    「さて、前回(10月9日)時点での進捗率は75.08%でした」
    パラ
    「今回から第8部の更新が始まり、『蒼天剣』全体の更新終了も見えてまいりました」
    シュウ
    「あともうちょっと、でもまだ100話以上残ってるのが現状。
    果たして今回はどれだけ進んだでしょうかっ」



    シュウ
    「まずは進捗率をお願いしますー」
    パラ
    「かしこまりました。
    16日時点での進捗率は、77.44%です」
    シュウ
    「前回とほぼ変わらない進捗の伸びですねー」



    シュウ
    「続いて修正箇所」
    パラ
    「以下の点を修正しております。
    蒼天剣・風砦録 1,3 : 一部の文章を修正しました。
    蒼天剣・風砦録 4,5 : 全体の文章を修正しました。
    蒼天剣・回北録 1,4 : 全体の文章を修正しました。
    蒼天剣・回北録 3,5,7 : 一部の文章を修正しました。

    また今回、サブタイトルの変更はございません」
    シュウ
    「今回は2節でしたが、話数が多かったみたいですねー」

    シュウ
    「明日の掲載はクルマのドット絵の予定です」
    パラ
    「そして次回更新は10月23日です」
    シュウ
    「しばらくこのまま、ダラダラ進む感じなんですかねー」

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    クルマのドット絵 その68

    クルマのドット絵

    前回の「クルマのドット絵」更新が、……昨年の8月30日……!?
    い、一体公開し忘れたクルマが、いくつあるんだ……。

    ……と言う恐ろしい事実に気付いたため、
    ストックが切れるまで集中的に続けようと思います。




    FIAT PANDA(13909)

    SUZUKI Lapin(HE33S)

    SUZUKI ALTO Works(HA36S)

    ・フィアット パンダ(2011)
    ・スズキ ラパン(2015)
    ・スズキ アルト ワークス(2014)




    余談ですが、最近自分のクルマが欲しくなってきました。
    ただ、ほとんど運転した経験が無いので、いきなりデカいものに乗ると事故を起こしかねません。
    なので、最初は軽からかなーと考えています。で、見当を付けてるのがラパン。
    可愛いのと、四駆仕様のものがあって乗りやすいかも、と言うのが理由。
    普通自動車より相当安いですしね。どうせ買うなら新車がいいですし。

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    双月千年世界シリーズ 第一次大修正;10月9日までの進捗状況

    更新報告

    シュウ
    「今回も『大修正』の進捗状況を説明しますー」
    パラ
    「報告および解説はわたくしが」
    シュウ
    「そして説明はわたしが行いますー」
    シュウパラ
    「よろしくお願いします」

    シュウ
    「さて、前回(10月2日)時点での進捗率は72.90%でした」
    パラ
    「ここニ、三週間は進捗も伸びており、順調と言えるかも知れません」
    シュウ
    「果たして第7部の更新は終わったのか? ソレでは参りましょー」



    シュウ
    「まずは進捗率をお願いしますー」
    パラ
    「かしこまりました。
    9日時点での進捗率は、75.08%です」
    シュウ
    「いよいよ4分の3に到達。間に合いそうな可能性が出てきました」



    シュウ
    「続いて修正箇所」
    パラ
    「以下の点を修正しております。
    蒼天剣・風夢録 3~5 : 全体の文章を修正しました。
    蒼天剣・火風録 4,8 : 行頭禁則に抵触していた部分を修正しました。

    また今回、以下のサブタイトルを変更しております。
    蒼天剣・火風録 5 : 「千年級の会話。」→「千年級の会話;悪魔と悪魔。」
    蒼天剣・風夢録 4 : 「終始変わらない形勢。」→「敗勢必至。」
    蒼天剣・火風録 7 : 「フーと巴景、大出世。」→「フーと巴景の大出世。」

    シュウ
    「第7部、サクッと終わりましたっ」

    シュウ
    「明日の掲載は未定です」
    パラ
    「そして次回更新は10月16日です」
    シュウ
    「『何か新しいコトしたいなー』とか言ってるみたいですけど……詳しいコトはやっぱり未定。
    考えてないとも言いますが」

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    業務連絡;8周年

    雑記

    本日10月6日、当ブログ「黄輪雑貨本店 新館」は開設から8周年を迎えました

    8年、長いですね。
    その間に書いたものをざっくり測ってみると――
    • 双月千年世界
      • 蒼天剣……全594話
      • 火紅狐……全413話
      • 白猫夢……全639話
      • 琥珀暁……現在37話
      • その他番外編など……現在149話
    • DETECTIVE WESTERN……現在74話
    • その他掌編……現在27話

    合計、1,933話。
    1話あたりおおよそ2,000文字程度なので、380万文字以上書いていることになります。
    各紙朝刊の文字数が100万文字程度と言われているので、自分のブログだけで4日分は朝の時間を潰せる計算になります。

    ……と考えると少ない。
    8年書いてきて、4日しか暇を潰せないのか。
    そもそも「双月千年世界」自体、全7章と考えているので、
    このペースだと完結までに後、さらに8年以上かかることに。
    「DW」のことも考えると、もっと時間がいるかも知れません。



    果たして僕自身がこのブログ、この作品群に満足できるのはいつのことになるやら。
    これからも粉骨砕身、頑張ります。

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    私がいない、私の人生

    短編・掌編

    私がいない、私の人生

     目を覚ますと、私は真っ白な部屋の中にいた。どうやら病室らしい。
    「あっ」
     声のした方へ首を向けると、そこには目を真っ赤にした娘の顔があった。
    「……倫」
     ぼんやりとした頭をどうにか動かし、私は何とか、娘の名を呼んだ。
    「良かった」
     一言だけそう返して、娘はボタボタと涙を流していた。

     ようやく頭の中がはっきりしたところで、娘から事情を聞かされた。どうやら私は昨日の帰宅途中、車にはねられたらしい。
     幸い、加害者がすぐ届け出たことと、救急病院がすぐ近くにあったことで、私は命を失うことも昏睡状態になることも無く、
     こうして無事、意識を取り戻すことができたようだ。
     怪我も全治1ヶ月と比較的軽傷であり、次の週にはもう、会社に復帰していた。



     しかし――この頃から私は、嫌な夢を見るようになった。
     私があの事故で、死んだ夢なのである。
     しかもその瞬間ではなく、「その後」の夢なのだ。

     現実の私はこれまで通りに会社へ向かい、順当に仕事をこなし、何の問題もなく帰宅し、妻と娘と私、三人が団欒して一日を終える。
     しかし夢の中には、その「私」がいないのだ。
     そこそこ高い地位に就いていた私がいなくなり、会社は混乱している。
     家族は私を失い、悲しみに暮れている。
     その辛い状況に対し私は、ただ傍観していることしかできない。
     そうして段々といたたまれなくなってきた頃に、私は夢から覚め、私がいる世界に戻ってくるのだ。
     そんな夢を度々見るようになったが、それでも私は現実の世界に支えられ、どうにか問題なく、私の人生を過ごした。

     1年経っても、夢は変わらず見続けていた。
     現実の私は昇進し、部長になった。部下も大勢増え、職責に伴う重圧と達成感が隣り合わせの生活を続けている。
     一方、夢の世界では、私が抜けた穴はどうにか埋まり、私の部下だった一人が部長になっていた。
     現実の私の家庭は、やはり変わらず仲良く暮らしている。娘は高校に入り、部活や面白い先生の話を色々聞かせてくれる。
     妻もドラマの俳優がかっこ良かっただとか、面白い漫才を見ただとか、テレビの他愛無い話を楽しそうに話している。
     夢の中でも、二人は明るかった。
     もうすっかり私を失った痛みと悲しみを乗り越えたらしく、妻や娘が私に対して話していたテレビの他愛無い話を、彼女たち同士で話していた。



     さらに時は過ぎ、私は役員の一人になった。
     勿論、これまで以上にストレスと報酬とが増え、流石に疲労も濃い。
     いや、この疲労感はむしろ、倦怠感と言ってもいいものだった。
     何故なら――夢の世界でも私のいない会社は、私がいる現実の世界と同様の業績を、元部下たちが挙げていたからだ。
     そのことは私に、「もしやこの会社、いや、この世界は、私がいなくても問題なく動くのではないか?」と、そう思わせざるを得なかった。
     夢の中における私の家庭の様子もまた、その思いを強めさせていた。
     現実の世界で私に対して話していたことは、夢の中でも、私抜きでも同じように、彼女たちの間で話されていたからだ。

     私はすっかり、私自身がつまらなく、無意味なものに思えてきてしまった。
     現実の世界でも、夢の世界でも、ほとんど同じように時が過ぎ、事は起こるのだ。
     ならば私の存在意義とはなんだろうか? そもそも存在する価値が、意味が、私にあるのだろうか?
     その思いが色濃く胸中を満たすようになり、私はとてつもない厭世観に囚われていった。

     そのことが私に、基本的な注意をも怠らせてしまったらしい――気付けば私のすぐ横に、車のヘッドライトが迫っていた。



     目を覚ますと、私は真っ白な部屋の中にいた。どうやら病室らしい。
    「あっ」
     声のした方へ首を向けると、そこには目を真っ赤にした娘の顔があった。
    「……倫」
     ぼんやりとした頭をどうにか動かし、私は何とか、娘の名を呼んだ。
    「良かった」
     一言だけそう返して、娘はボタボタと涙を流していた。

     私は号泣する娘に、ぼそっと尋ねた。
    「倫。俺は、……生きてるのか? 生きてて、いいのか?」
     しかし泣きじゃくる娘には、私の声はあまりに弱々しすぎて、聞こえなかったらしい――彼女は私の質問に答えず、ただ泣いていた。

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    双月千年世界シリーズ 第一次大修正;10月2日までの進捗状況

    更新報告

    シュウ
    「今回も『大修正』の進捗状況を説明しますー」
    パラ
    「報告および解説はわたくしが」
    シュウ
    「そして説明はわたしが行いますー」
    シュウパラ
    「よろしくお願いします」

    シュウ
    「さて、前回(9月25日)時点での進捗率は70.03%でした」
    パラ
    「本年も残り3ヶ月、残り12週となり、本年中の更新終了が危ぶまれております」
    シュウ
    「間に合うかなぁ……。間に合って欲しいですけどねー」



    シュウ
    「まずは進捗率をお願いしますー」
    パラ
    「かしこまりました。
    2日時点での進捗率は、72.90%です」
    シュウ
    「前回比、3%弱の伸び。今回は調子良く進んだみたいですねー」



    シュウ
    「続いて修正箇所」
    パラ
    「以下の点を修正しております。
    蒼天剣・風紀録 1,2,4 : 全体の文章を修正しました。
    蒼天剣・風師録 1,4 : 一部の文章を修正しました。

    また今回、サブタイトルの変更はございません」
    シュウ
    「意外にトントン進んでる感じですね。このまま進められれば第7部もサクッと終わるかも?」

    シュウ
    「明日は掌編掲載予定」
    パラ
    「そして次回更新は10月9日です」
    シュウ
    「そろそろ『琥珀暁』も頑張ってもらわないと……」

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    2016年10月携帯待受

    携帯待受

    MITSUBISHI eKwagon(B11W)

    MITSUBISHI eKwagon(B11W)

    MITSUBISHI eKwagon(B11W)  MITSUBISHI eKwagon(B11W)

    2016年10月の壁紙。
    三菱の軽自動車、eKワゴン。

    そろそろ今年も終わりが見えてきました。
    来年の携帯待受のことも、そろそろ考えないといけません。

    この数年間はずっとクルマを描いてきましたが、
    そろそろ別の題材にすべきか、考えているところです。
    と言って、他に明確な案、アイデアがあるわけでも無し。
    来年度1月の待受を制作するタイミングを考えると、
    あと2ヶ月くらいで案を出さないと行けませんが……。



    次回投票は10月下旬、16~21日あたりを予定しています。
    当ブログのトップページか、もしくはこちらから、私、黄輪のTLに飛ぶことができます。
    よろしければご参加下さい。



    Calender picture application by Henry Le Chatelier

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    双月千年世界シリーズ 第一次大修正;9月25日までの進捗状況

    更新報告

    シュウ
    「今回も『大修正』の進捗状況を説明しますー」
    パラ
    「報告および解説はわたくしが」
    シュウ
    「そして説明はわたしが行いますー」
    シュウパラ
    「よろしくお願いします」

    シュウ
    「さて、前回(9月18日)時点での進捗率は68.35%でした」
    パラ
    「今回より第7部の更新に入りました。また、進捗率70%への到達も間近に迫っております」
    シュウ
    「あと3割っ。果たして今年中に更新は終わるのか……」



    シュウ
    「まずは進捗率をお願いしますー」
    パラ
    「かしこまりました。
    25日時点での進捗率は、70.03%です」
    シュウ
    「7割突破っ。おぼろげながら終わりが見えてきた、かも?」



    シュウ
    「続いて修正箇所」
    パラ
    「以下の点を修正しております。
    蒼天剣・風来録 1,3 : 全体の文章を修正しました。
    蒼天剣・風来録 2 : 一部の文章を修正しました。
    蒼天剣・風評録 1,3~5 : 全体の文章を修正しました。

    また今回、サブタイトルの変更はございません」
    シュウ
    「このペースで行ければ、10月中には第7部を終わらせられるかも。……『かも』ばっかりですね」

    シュウ
    「明日は10月の待受掲載予定です。
    残り時間わずかですが、こちらで投票を受け付けています」
    パラ
    「そして次回更新は10月2日です」
    シュウ
    「あともうちょっと、もうちょっと……」

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    イラスト実践;9月19日

    イラスト練習/実践

    4ヶ月ぶりにイラスト掲載。
    ポールさんからのリクエストで、「双月千年世界」シリーズの「大火と渾沌」をとのことでしたが、
    渾沌は以前に描いているので、今回は大火。


    正面からのポーズでも良かったんですが、背後からの方が威圧感が出るかなーと。
    ……と言うより自分が正面から描いて、威圧感が出せるか不安だったもんで。


    こちらはカラー版。
    髪質と肌の色は娘さんと同じみたいです。

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    双月千年世界シリーズ 第一次大修正;9月18日までの進捗状況

    更新報告

    シュウ
    「今回も『大修正』の進捗状況を説明しますー」
    パラ
    「報告および解説はわたくしが」
    シュウ
    「そして説明はわたしが行いますー」
    シュウパラ
    「よろしくお願いします」

    シュウ
    「さて、前回(9月11日)時点での進捗率は65.99%でした」
    パラ
    「ここのところ低調だった進捗も、今回は多少伸びた模様です」
    シュウ
    「今回ようやく、第6部が終わったみたいですよー」



    シュウ
    「まずは進捗率をお願いしますー」
    パラ
    「かしこまりました。
    18日時点での進捗率は、68.35%です」
    シュウ
    「こないだ6割超えたーって話してましたが、もう7割が目前になってきましたねー」



    シュウ
    「続いて修正箇所」
    パラ
    「以下の点を修正しております。
    蒼天剣・通信録 1~8 : 全体の文章を修正しました。
    蒼天剣・黒色録 1~4 : 全体の文章を修正しました。

    また今回、以下のサブタイトルを変更しております。
    蒼天剣・通信録 5 : 「富豪刑事ならぬ、王族刑事。」→「新たなフォルナ。」
    蒼天剣・通信録 7 : 「たくましい女の子。」→「自立。」
    蒼天剣・黒色録 1 : 「第6部、最後の戦い。」→「殺刹峰として、最後の戦い。」

    シュウ
    「次回から第7部っ。
    部数で見ればもう、残り3分の1になりましたねー」

    シュウ
    「明日は久々のイラスト掲載です。
    あと、首尾よく行けばその翌日、行かなくても来週には10月の待受掲載予定です」
    パラ
    「そして次回更新は9月25日です」
    シュウ
    「あと3ヶ月で今年も終わり。
    ソレまでに間に合うのかどうかっ」

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    業務連絡;「琥珀暁」目次とあらすじを追加しました(第1部)

    雑記

    下記ページにて、「琥珀暁」第1部の目次とあらすじ、あとがきの目次を追加しました。

    http://auring.web.fc2.com/au-novel.html(目次)
    http://auring.web.fc2.com/ko-outline1.html(第1部あらすじ)

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    新作開始にあたり、上記ページにおいて4年近く使っていた背景画像を変えました。
    「白猫夢」のイメージだった白と紫から、「琥珀暁」の黄と赤に。
    ……あ、「火紅狐」も黄と赤だった。ま、まあ、「火紅狐」は赤寄り、「琥珀暁」は黄寄りですが。

    ちなみにこれまでの3作品とも色がタイトルの中に入っていたので、
    今作も色にちなんだ名前、「琥珀暁」にしました。
    その辺りの経緯はこちら辺りで話しています。

    ちなみにその2、自分の作品中には「ダブルミーニング」や「トリプルミーニング」が何度か用いられています。
    例えば克大火。以前に何かしらのコメントでも言っていましたが、彼の名前には3つの意味が含まれています。
    1.大火(騒動や事件の元)
    2.大家(魔術と剣術の達人)
    3.対価(契約の悪魔)
    今作のタイトル「琥珀暁」にもダブルミーニングがあり、一つは既に「琥珀暁・創史伝 6」で示した通り、
    「無明の時代が終わり、文化・文明の光が差したこと」を意味しています。
    もう一つの意味については今後、明かしていく予定です。

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    琥珀暁 目次(第1部;「降臨記」編)

    双月千年世界 目次 / あらすじ

    絵師さん募集中!

    黄輪雑貨本店 総合目次 (あらすじもこちらにあります)

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    「琥珀暁」地図(作成中……)

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    「双月暦」の暦
    双月世界の魔力・魔術観について
    双月世界の種族と遺伝 補足1
    双月世界の戸籍

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

    1話目から読みたい方はこちら



    琥珀暁・彼訪伝
    1 2 3 4

    琥珀暁・遭魔伝
    1 2 3 4

    琥珀暁・魔授伝
    1 2 3 4 5

    琥珀暁・南旅伝
    1 2 3 4 5 6

    琥珀暁・襲跡伝
    1 2 3 4 5 6

    琥珀暁・創史伝
    1 2 3 4 5 6 7 8

    琥珀暁・邂朋伝
    1 2 3 4

    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -


    第1部;彼訪伝~邂朋伝

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    双月千年世界シリーズ 第一次大修正;9月11日までの進捗状況

    更新報告

    シュウ
    「今回も『大修正』の進捗状況を説明しますー」
    パラ
    「報告および解説はわたくしが」
    シュウ
    「そして説明はわたしが行いますー」
    シュウパラ
    「よろしくお願いします」

    シュウ
    「さて、前回(9月4日)時点での進捗率は64.81%でした」
    パラ
    「第6部更新もそろそろ終わりが見えてまいりました」
    シュウ
    「でも今年も残り3ヶ月半となっています。
    今年中に終わるんでしょうか……」



    シュウ
    「まずは進捗率をお願いしますー」
    パラ
    「かしこまりました。
    4日時点での進捗率は、65.99%です」



    シュウ
    「続いて修正箇所」
    パラ
    「以下の点を修正しております。
    蒼天剣・白色録 1~2,4~6 : 全体の文章を修正しました。
    また、今回サブタイトルの変更はございません」
    シュウ
    「次回こそ、第6部の修正が終わりそうですね」

    シュウ
    「明日は『琥珀暁』第1部のあらすじ更新です」
    パラ
    「そして次回更新は9月18日です」
    シュウ
    「今月はのんびりペース。
    週2ペースの更新がまだまだ続きますー」

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    信じない男たち

    短編・掌編

    信じない男たち

     とは言え、だ。
     無論、まったく「何物をも信じない」なんてことは、はっきり言って頭がイカレる寸前の哲学者か、完全にイカレたおバカのやることだ。
     人間、「よりどころ」は必要だ。何かは信じざるを得ない。何かは信じるもんさ。他人とは言わないまでも、モノとかカネとか、そんくらいはな。
     そう言う点において、俺が信じたものは実にシンプルだった。そう、カネさ。
     誰にでも分かりやすい理屈だろ? カネなら誰にでも使えるからな。しかも殆どの場合、使う時に身分の説明やら支払い能力の証明なんかいらない。
     だから取引はカネで行うことにしてたし、それ以外は基本、撥ねつけることにしてたんだ。
     だが、どうしても銀行に振り込むっつって聞かない奴が現れた。
     俺が散々駄目だ嫌だカネで寄越せっつっても、頑として首を縦に振らねえ。
     何回も何回も交渉した末、結局俺の方が折れた。

     で、その取引が罠だったってワケだ。
     俺はあっさり捕まり、拘束された。



    「君には膨大な数の嫌疑がかかっている。そしてそれに見合う額の、莫大な懸賞金もだ」
     取調室で会ったお役人は、俺に分かりやすい話を持ちかけた。
    「君には複数の仲間がいるようだが、それを教えてくれれば釈放するし、君の懸賞金と同額を支払おう。如何かね?」
     自由が手に入る。そしてカネもだ。実に分かりやすいだろ? 当然、俺は話に乗った。
     俺はお役人の監視の元、仲間たちに連絡を取りまくった。「デカい取引がある。手を貸してくれ」っつってな。
     俺がカネを信じるように、こいつらも俺を信じている。みんな疑いもせず、二つ返事で引き受けてくれた。

     そして「取引」の日は来た。集まってきた仲間は、売り物として大量の武器を持ってきた。
     それを買う名目で、俺は集まってきた仲間の前に、カネの詰まったケースを見せる。
     実はそのカネは、俺がもらう予定のカネだ。こいつらが捕まった時点で俺は釈放、そのままカネを持って取引場所から出て行くって寸法だ。
     いくら偽の取引って言ったって、カネまで偽物じゃ誰だって信じやしないと、俺はお役人にそう説得した。
     それは俺の信条でもあるからだ。だからこそお役人は、カネで俺を抱き込んだわけだしな。



     それからどうなったって?
     それを説明する前に、だ。もう一回、「何を信じるか」って話をしとかなきゃ、話の筋が分からんだろうな。
     俺はカネを信じるし、それと同じくらい、仲間は俺を信じてる。
     だから仲間は俺の持ちかけた「取引」が、マジで武器を買うための取引だと信じて疑わなかった。
     そして、それはまさに俺の狙い通りだったってわけさ。
     俺がカネの使い方を心得ているくらいに、あいつらも俺の意図を心得てくれていた。

     俺が「よし、商談成立だ!」と叫んだ瞬間、お役人共が拳銃を手にしてぞろぞろ現れた。
     それと同時に、仲間は今まさに、俺に売ったばかりの武器を手に取った。
     別におかしい話じゃないだろ? 話はシンプルなままさ。
     俺が武器を買って、俺の仲間に配ったってだけの話だ。



     なんでそんなこと、と言う前に、ちょっとばかり考えて欲しい。
     俺はこの世で一番カネを信じちゃいるが、お役人共はそれほどでもないってことを。
     同じように、仲間はこの世で一番俺を信じちゃいるが、やはりお役人共はそれほどでもないってことを。
     あいつらは俺のことも、カネのことも信じちゃいない。
     どうせ取引が成立したと見た途端、俺たちを蜂の巣にする気満々だったろうぜ。

     そんな「何物をも信じない」ような奴らのことを信じろって言うのか?
     俺と、俺たちの信じるものを信じない奴らなんて、俺たちにとっちゃイカレてるとしか思えない。
     そんな奴らを、俺たちが信じるわけが無い。
     な、最後までシンプルな話だったろ?

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    双月千年世界シリーズ 第一次大修正;9月4日までの進捗状況

    更新報告

    シュウ
    「今回も『大修正』の進捗状況を説明しますー」
    パラ
    「報告および解説はわたくしが」
    シュウ
    「そして説明はわたしが行いますー」
    シュウパラ
    「よろしくお願いします」

    シュウ
    「さて、前回(8月28日)時点での進捗率は62.46%でした」
    パラ
    「このところ進捗が滞り、進捗率が伸び悩む状況が続いております」
    シュウ
    「でも今回はちょっと頑張ったみたいですよー」



    シュウ
    「まずは進捗率をお願いしますー」
    パラ
    「かしこまりました。
    4日時点での進捗率は、64.81%です」
    シュウ
    「今回は進捗2%を超えました」

    シュウ
    「続いて修正箇所」
    パラ
    「以下の点を修正しております。
    蒼天剣・邪心録 1~5 : 全体の文章を修正しました。
    蒼天剣・死淵録 1,2,7 : 全体の文章を修正しました。
    蒼天剣・死淵録 8 : 行頭禁則に抵触していた部分を修正しました。

    また、今回サブタイトルの変更はございません」
    シュウ
    「もしかしたら次回か次々回で、第6部の修正が終わるかも知れませんねー」

    シュウ
    「まだあらすじの方はできてないらしいので、明日は掌編掲載ですねー」
    パラ
    「次回更新は9月11日です」
    シュウ
    「今月いっぱい、このペースが続きます。
    毎日更新の体制に戻るのはまだ未定。
    『毎日出せるだけのものが今のトコ出来上がってない』だそうで」

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